【野菜を毎日!まんぷくベジ350プロジェクト】
野菜は、栄養素を摂るのはもちろんですが、味や香り、みずみずしさや色合いなど、五感で楽しめるのも大きな魅力です。なかでも、野菜の“色”はとても鮮やかでパワフル! 見ているだけで元気が出てきますよね。
さらに、色とりどりの野菜は春の食卓にもぴったり。お皿に盛り付けるだけで、パッと華やかになります。「1日350gの野菜」を摂取するためにも、ぜひこの春は、色に注目して野菜選びをしてみてはいかがでしょうか。
ますます注目したい、カラフル野菜事情
最近はスーパーなどでもカラフルな野菜が並ぶようになり、手軽に手に入るようになりました。実際にどんなバリエーションがあるのか、ご紹介しましょう。
<ミニトマト>
カラフルな品種展開がある野菜として最も身近なものは、ミニトマトでしょうか。赤が主流ですが、黄色や緑、紫色なども比較的よく見かけますよね。パック詰めのトマトなどをお皿に並べるだけで、とてもカラフル。
完熟しても緑色の「グリーントマト」や、茶色がかった「ブラックショコラ」、ゼブラ柄が特徴の「ローマンゼブラ」など、ユニークなネーミングもおもしろいところ。
ミニトマトは元々、観賞用として伝来したと言われています。そういった歴史背景があることを知ると、これだけカラフルな品種があることもなんだか納得できますよね。
<カリフラワー>
近年ヘルシー食材として注目されているカリフラワー。まず思いつくのは、白いものかと思いますが、カリフラワーも品種によってカラーが異なる野菜のひとつです。
カリフラワーは、一般的な白以外に、鮮やかなオレンジ色が特徴の「オレンジブーケ」や、紫色の「バイオレットクイン」などの品種があります。
フラクタル構造と呼ばれる螺旋の形状が美しい「ロマネスコ」もカリフラワーの一種で、黄緑色がきれいですよね。
<にんじん>
にんじんは普段食べている種類でも、濃いオレンジ色が料理の彩りになってくれますが、じつは品種の多さも特徴的。大きく東洋種と西洋種に分けられ、それぞれにカラフルなものがあります。
京野菜として知られる「金時にんじん」は東洋種のひとつで、オレンジというより赤に近い色合いで、芯の部分まで赤いのが特徴。沖縄の島にんじんをルーツにもつ黄色の「金美」、原種に近いといわれている真っ黒な「黒にんじん」も東洋種です。
一方で西洋種は、一般的に流通しているオレンジ色の「五寸にんじん」、紫色の「パープルスティック」などがあります。
葉付きのものは緑色の葉も食べられることを考えると、にんじんだけでカラフルな料理ができあがりそうですよね。
<だいこん>
だいこんは、ご当地品種が多いことが特徴で、日本における品種数は世界トップとも言われるほど。色のちがいだけでなく、辛みの強さなどでも好みの品種を探すのも楽しいものです。
白いだいこんは栽培地の名前がつく「〇〇大根」と呼ばれるものが多く、練馬大根や三浦大根、桜島大根などが有名。皮が赤く中が白い「レディーサラダ」、皮も中も赤い「紅くるり」、皮が緑で中が赤い「紅心大根」、皮も中も緑の「ビタミン大根」、紫のグラデーションの「紅しぐれ」、皮が黒くて中が白い「からす大根」など、色の種類だけでなく皮と中の色の組み合わせのちがいによってもバリエーションはさまざま。世界最多の品種数と言われるのは納得ですね。
<かぶ>
だいこん同様に地方品種多いかぶも、カラフルな品種が多い野菜。淡い色合いが多く、並べてみるととてもかわいらしいですね。
「赤かぶ」は山形や岐阜などで古くから栽培されている東洋種が多く、「黄かぶ」はヨーロッパから伝わった西洋種です。ほかには、紫から白にグラデーションのある「あやめ雪」、皮が手でむける赤かぶの一種「もものすけ」も最近は人気を集めています。
<じゃがいも>
じゃがいもにも多くの品種があることは知られていますが、意外にもカラフルな品種があることはあまり知られていないかもしれません。
主流の「男爵」「メークイン」は皮も中も白に近い黄色。皮は淡黄色で中が濃い黄色の「インカのめざめ」も、最近はよく見にする機会が増えました。ほかには、皮も中も赤みのある紫色の「ノーザンルビー」、皮が赤く中が黄色の「レッドアンデス」や「レッドムーン」、皮が赤く中が白い「シェリー」、皮も中も青みがかった紫色の「シャドークイーン」など、じつに多くの色があり、新品種の開発も盛んです。
色で異なる、野菜の栄養素とは
ここで気になるのが、同じ野菜でも色によって栄養価がちがうのか?ということではないでしょうか。
ズバリ、答えは「ちがう」です。色がちがえば含まれる栄養素も異なります。3大栄養素と呼ばれる炭水化物、たんぱく質、脂質には大きな差はないものの、色素成分であるビタミンやポリフェノール、カロテノイドなどにちがいがあるのです。
例えばにんじんの場合、金時にんじんのように赤い品種のものは、トマトに含まれることで知られる「リコピン」が含まれています。紫色の品種には、ポリフェノールの「アントシアニン」が含まれますよ。そして、一般的ににんじんはβ-カロテンが豊富で緑黄色野菜に分類(※1)されますが、白い品種はβ-カロテン量が少ないため、緑黄色野菜には分類されません。
このように野菜の色にも栄養素が関係しており、カラフルな見た目を楽しみつつ、含まれる栄養素がちがうことも意識してみるとよいでしょう。
※1:β-カロテン含有量600㎍以上/100g当たり
カラフルさを活かす、盛り付けポイント
いつもの料理でも、使う野菜の色を何色か組み合わせてみると、シンプルな料理でもおどろくほど華やかに仕上がります。
野菜の中には、加熱をすると色がおちてしまうものもあるので、まずは生で食べられる前菜料理で使ってみるとよいでしょう。じゃがいもなど加熱が必要な野菜は、短時間で加熱できる調理法がおすすめです。薄くスライスして高温の油で調理すると、煮込んだり炒めたりするより短時間で済みます。
カラフルなミニトマトは、スライスして色を組み合わせてピックで刺せば、それだけでおしゃれなピンチョスに。
カリフラワーやにんじん、だいこんは小さく切り分けて、ソースを入れたグラスに盛り付けてグラスサラダに。ソースを下に入れることで野菜の色を活かした盛り付けができます。
カラフルなじゃがいもは、薄くスライスして油でパリッと揚げてチップスに。色はもちろん、食感も楽しめます。
野菜の色だけで食卓がカラフルになるので、調理に関しては素材を生かしたシンプルな食べ方がおすすめです。ワンハンドで食べられるメニューは、お花見やパーティーシーンにぴったりですね。
カラフルな野菜は、見ているだけでパワーをもらい、元気が出ます。毎日350gの野菜をバランスよく食べるためには、色のバランスも大切。できるだけいろいろな色の野菜を取り入れることで、自然と栄養バランスもよくなります。
少しずつ春の気配がやってきて、外での食事も心地よい季節になってきました。お花見をしながら、カラフル野菜のある食事を楽しんでみてくださいね。
WRITER
野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、野菜や果物のすばらしさをたくさんの方に知ってもらうため、おいしく食べて、キレイで健康に過ごすための情報を発信していきます!」