日本の暦と旬の野菜-春
晴明とは二十四節気の一つで、2024年は4月4日に迎えます。晴明の語源は、「清浄明潔(しょうじょうめいけつ)」という語。その意味は、文字通り清らかで明るく、活気に満ち溢れているさまをいいます。
※二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つに分け、そこからさらに6つに分けた、約15日間の季節を表す言葉。現在は最初の日だけを指すことが一般的ですが、本来はこの15日間を表します。
※日本の暦は、旧暦(太陰太陽暦の暦法「天保暦(てんぽうれき)」)から、1872年にグレゴリオ暦(太陽暦)が採用され、新暦と呼ばれます。特別な表記がない場合を除き、日付は新暦です。
※二十四節気の日付は毎年異なり、1日程度前後します。
灌仏会・お花まつりの時期です
この時期、4月8日は、灌仏会(かんぶつえ)という行事が行われます。
灌仏会とは、お釈迦様の誕生日をお祝いする仏教行事のこと。お釈迦様がいらっしゃる御堂に、花をふんだんにお供えすることから、「花まつり」とも呼ばれます。
花まつりでは、お釈迦様の像に甘茶をかける習慣があります。
甘茶というのは、そのまま「アマチャ」という名前の植物の葉を、茶葉に加工したもの。お茶にすると、甘味が感じられます。アマチャは、アジサイ科の植物で、私たちが雨季にみる紫陽花と、よく似た見た目が特徴です。
なぜ、像に甘茶をかけるのでしょう。
ある言い伝えが由来と考えられています。その言い伝えとは、「お釈迦様が誕生した日に、九匹の竜が現れ、甘露の雨を降らせた」というもの。これにならって、お釈迦様の誕生日に、像に甘茶をかける風習が生まれました。
旬の野菜「せり」
晴明の時期、今回ご紹介するおすすめの旬の野菜はせりです。
せりは、1月〜4月の春先にやわらかい芽をだします。
<せりの栄養>
せりは、鉄分やβ-カロテンが豊富な野菜です。その量は、鉄分はキャベツの約5倍、カロテンはトマトの約3.5倍。鉄分は貧血予防、カロテンは皮膚粘膜の維持や免疫力の向上にはたらきます。
また、せりには薬効があり、その成分は「フタル酸ジエチルエステル」という精油成分。
この成分には、消化を助ける効果や、発汗を促して冷え性を改善する効果が期待できます。
<せりのおすすめの食べ方>
香り成分を逃さないよう、さっと加熱して調理しましょう。植物性の鉄分は、たんぱく質やビタミンCと一緒に摂取することで、吸収効率が上がります。香り成分が肉の臭み消しにもなるので、豚肉などと中華炒めにすると相性が良いですよ。
炒めるときは、ほかの材料に先に火を通してから、せりは最後に炒め合わせましょう。
<そのほかの旬の野菜>
この時期の旬の野菜は、次の通りです。
- うど
- ふき
- たらのめ
- にんじん
- たまねぎ
- 春キャベツ
輸入果物「チェリモヤ」に注目を!
この時期、チェリモヤという輸入果物が旬を迎えます。めずらしい果物のため、初めて耳にする方もいらっしゃるかもしれません。
南アメリカで収穫される果物で、マンゴー、マンゴスチンに並んで世界三大美果に数えられます。果実は白く、濃厚な舌触りが特徴。甘味の中に、酸味も感じられます。
大きなスーパーの店頭でもみかけられるようになりました。ご興味のあるかたは、ぜひ手に取ってみてくださいね。
花を使った習わしが行われたり、春らしい野菜が出まわり始めたりする時期、清明。
いよいよ春本番を五感で楽しめる季節の到来です。旬の野菜や、いつもは食べない果物を食卓にとりいれて、春を満喫してくださいね。
WRITER
管理栄養士。栄養・レシピ・ヴィーガンなど、食に関する記事をWEBコンテンツで執筆。その他、カフェのメニュー開発、料理動画制作などをして活動。これまでは給食提供のほか、離乳食指導や食育指導に従事。幼少期から茶道を習っており、日本文化が好き。こども食堂を開くのが夢!