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vol.17 こごみ<Fiddlehead>
vol.17 こごみ<Fiddlehead>
クルッと渦を巻いた不思議な形のこごみ。山菜のひとつとして春に楽しまれていますが、意外にも、暮らしに身近な植物なのをご存知でしょうか?今回はこごみのおいしさを活かすために知っておきたい、3つのポイントをご紹介します。
海外でも食べられる、春の野草
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こごみは「クサソテツ」の若芽のこと。ソテツのように葉を大きく広げる野草で、冬の間は地上に出た葉を枯らしますが、春になると株元から新芽を出し、若いうちに採って食べるものを「こごみ」と呼びます。
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クサソテツは日本各地に自生し、庭草として植えられることもあるので、姿を見たことがあるのではないでしょうか。
クサソテツはヨーロッパをはじめカナダやアメリカなどにもあり、こごみは海外でも食べられています。バイオリンの上部に見た目が似ていることから、英語では「Fiddlehead」とも呼ばれます。(Fiddle=擦弦楽器の head=頭」)
こごみとして食用しているのは、渦巻き状になっている若芽のうち。成長が早いため、茎が伸び渦が開いて羽を広げたような姿になると、食用には適さなくなります。
栄養面では、β-カロテンが豊富な緑黄色野菜に分類され、カルシウム・食物繊維もほかの山菜よりも多いことが特徴です。
旬をおいしく味わうための、知っておきたい3つのポイント
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<ポイントその1>
渦がしっかり巻いているものを選ぼう
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前述のように、こごみは成長の早い山菜です。渦が開きはじめているものは、獲り遅れの可能性があるため、選ぶときには渦の巻き具合をチェックしてくださいね。
乾燥しているものは鮮度が落ちているため、みずみずしいものを選ぶと良いでしょう。
小さな葉は食べることができるので、多少葉が出ていても気にすることはありません。
<ポイントその2>
アク抜きは不要、水洗いするだけ!
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こごみはアクが少ないため、下茹でする必要がありません。水で洗うだけでOK。重曹も使わずに下処理が完了してしまうのです。
ボウルに水をはって、渦の部分をやさしく指でなでるように洗います。茶色くなった葉やゴミが取れればOKです。最後に根元の茶色くなっている部分を切り落としておきましょう。
<ポイントその3>
和食だけじゃない、海外の食べ方にも注目しよう
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山菜と言えば、天ぷらやおひたしなど和の食べ方が一般的ですよね。こごみは、海外でも食べられている山菜だとご紹介しましたが、海外の食べ方も参考にしてみると料理のレパートリーが広がって、新しい食べ方にもチャレンジできて面白いですよ。
オリーブオイルとにんにくでサッと炒めて、塩こしょうで味付けしてレモンをギュッと絞るシンプルな食べ方もいいですが、塩茹でしたものをオレンジと合わせるマリネなども変わっていておすすめ。山菜料理の域を超えるおしゃれなレシピは、簡単なのにすぐに作れる手軽さもうれしいですね。
今回は、ブルーチーズを組み合わせた大人向けの一品をご紹介します。
<こごみとそら豆のブルーチーズ和え>
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【材料】
こごみ…70g、そら豆…70g、ブルーチーズ…60g、粉チーズ…大さじ1、生クリーム…大さじ2、ゆで卵…1/2個、ブラックペッパー…少量
【作り方】
①こごみとそら豆は塩(分量外)を入れた熱湯で茹で、こごみは食べやすい大きさにカットし、そら豆は薄皮から取り出す。
②耐熱ボウルにブルーチーズ、粉チーズ、生クリームを入れ、600Wで30秒間レンジにかけてクリーム状にする。
③②に①を加えて混ぜ合わせる。
④お皿に盛り、刻んだゆで卵を散らす。
⑤仕上げにブラックペッパーをかける。
【ひとことアドバイス】
・そら豆はスナップえんどうや菜花などに置き換えてもおいしいです。
・チーズの溶け具合で、レンジの加熱時間は調整してください。
春の芽吹きを見つけよう
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アク抜き不要で下処理が簡単なこごみは、手軽に味わえる山菜。日本に限らず海外でも春の味覚として楽しまれているのは、そんな手軽さもあるのかもしれませんね。
春の山歩きでは、土から芽吹いたこごみを見つけられるかも?
定番の天ぷらやおひたしはもちろん、海外の食べ方からもおいしさのヒントを見つけてみると、こごみの魅力をもっと見つけられるでしょう。
イラスト/中川美香
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WRITER
野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、野菜や果物のすばらしさをたくさんの方に知ってもらうため、おいしく食べて、キレイで健康に過ごすための情報を発信していきます!」