野菜をおいしくする、愛すべき道具たち vol.1 <たわし編>
こんにちは。まんぷくベジ編集部のありです。
みなさんは、野菜を洗うときにどんな道具を使っていますか?野菜と言っても、泥付きのものから凹凸のあるもの、柔らかく繊細なものまでさまざま。また、野菜洗いの道具にも多くの種類があり、どんなアイテムを使えばいいのか迷ってしまいますよね。
野菜洗いで大切なのは、きちんと泥汚れを落としながらも、おいしく栄養のある皮などの部分はきちんと残せること。そこで注目したいのが、野菜のおいしさをそのままに、皮を適度に残して泥汚れだけを落とすことができる、たわしでの野菜洗いです。
今回は明治40年創業、亀の子束子西尾商店のアンテナショップである「亀の子束子 谷中店」さんへお邪魔して、たわしを使った野菜洗いについて、また初心者でも使いやすいたわしを教えてもらいました。
亀の子束子が野菜洗いに最適なワケ
明治40年、東京の文京区本郷で創業した「亀の子束子西尾商店」。亀のイラストが入った、オレンジ色のレトロなパッケージは、誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。亀の子束子の誕生以来、100年以上も変わらぬ製法で作られ続けているそうです。
たわしと言えば、学校の洗面所に置いてあったり、鍋やフライパンなどをゴシゴシ洗うときに使われるイメージが強いですが、最近注目されているのが“野菜洗い”。若い世代を中心に、野菜をたっぷり食べたいけれど、皮ごと安心して食べられるように野菜を洗いたい……という要望で来店する人が急激に増えているそうです。
亀の子束子西尾商店では、一番かたい「パーム(ココナッツ繊維)」素材、コシがあってしなやかなさが特徴の「棕櫚(シュロ)」素材、そして最も柔らかい「サイザル麻」素材と、おもに3種類の素材でできたたわしが販売されています。
野菜洗い専用として販売されているたわしは、実はありません。つまり、どのたわしでも、野菜洗いに使ってもOK!ただし、3種類のたわしにはそれぞれに特徴があるので、洗う野菜の特徴や皮の落とし具合に合わせて選ぶのがポイントだそう。さらに亀の子束子では、手のひらにおさまるぐらいのミニサイズから細長いもの、丸っこいものと、素材ごとにサイズや形を豊富に展開。自分の手に馴染んで、使いやすいものを選んでみるのも、ひとつの方法です
そこで、お野菜洗いの初心者はどんな選び方をすればいいか、「亀の子束子 谷中店」店長の野瀬さんに教えていただきました。
お野菜初心者におすすめの、たわし3選!
泥汚れをしっかり落としてくれる、パーム素材
かためのパーム素材で、ごぼうや里芋などについた野菜の泥をしっかりと落としてくれます。こちらはスリムなフォルムなので、女性の手にジャストでおさまり、大小さまざまな大きさの野菜洗いにぴったり。握りやすい形なので力が入れやすく、ちょっと厄介な泥汚れにも対応できそうです。
汚れや泥落としはもちろん、ごぼうの皮や新じゃがの薄皮なども適度に削ぎ落としてくれるので、皮が気になるという人にはパーム素材がおすすめです。茶色い、よく見かける定番のたわしも店頭に並んでいますが、ほかの用途と区別するため、このシマシマデザインのタイプを野菜用として愛用している方も多いそう。
パーム素材でこすると、このようにしっかりと皮が削ぎ落とせました。
皮や薄皮を適度に残したいなら、棕櫚(シュロ)素材
一番かたいパームよりも少しだけ柔らかい素材で、しなやかなコシが感じられる棕櫚(シュロ)たわし。コシをうまく使いながら野菜をこすると、新じゃがの薄皮などの汚れを落としながらも、皮はしっかり残してくれるのが、棕櫚たわしの特徴です。
小さめサイズなので、小さい野菜や細長い野菜など、小回りがきいてさまざまな野菜に使えます。力の入れ加減やこする時間などで、どの程度皮を残すのかも調節できるのは便利ですね。
パーム素材のたわしと棕櫚素材のたわしは、薄皮を残すか残さないかで選ぶといいでしょう。こちらの新じゃがは、左がパーム素材でこすったもの、右が棕櫚素材でこすったもの。薄皮の残り具合に少し差があります。また、どちらのたわしも力の入れ具合によっても変わってくるので、好みで調節してみてもいいですね。
繊細な野菜の汚れやワックス落としに、サイザル麻
触ってみると、たわし特有のツンツンとする感じがなく優しい感触。水で濡らすと、さらに柔らかくなるのがわかります。手から少しはみ出るぐらいの大きさですが、丸い形をしているので、意外とつかみやすいです。
こちらは凹凸のあるゴーヤや、トマトやナスなど、少し柔らかめで繊細な野菜を洗うのにおすすめ。こするというよりも、ぬぐう感覚で野菜の表面を洗うのがポイントです。トマトの表面の汚れやレモンなどのワックスが気になる場合も、サイザル麻のたわしが最適。ベーグルのような形のため、乾きやすいたわしです。
サイザル麻は、体洗いのたわしとしても人気の素材。かたいたわしを想像して触ると、とくに水を含んだ状態では、優しい感触で最初は驚きでした。繊細な野菜にもぴったりですね。
野菜の特徴や皮の落とし具合によって3種類を使い分けてもいいですが、いきなり3つを使うのはハードルが高いかもしれません。まずは1つ選んでお試しで使ってみるなら、比較的どんな野菜にも使える、棕櫚の素材がおすすめだそうです。
水洗いと乾燥が基本。たわしのお手入れ方法とは
たわしで野菜洗いをする前には必ず、一度水洗いをします。そして、使い終わった後も、汚れやカスを落とすために水洗いをして、しっかり乾燥させることが大切だとか。天日干しできれば一番いいですが、毎日のことなので大変なら、食器洗いの籠などにS字フックをかけて、そこに吊るして乾燥させてもいいそうです。
たわしは力を入れてゴシゴシこすっても、ちょっとやそっとじゃ壊れにくく、耐久性が抜群。しっかりお手入れをすれば、なが?く愛用することができ、とってもエコな野菜洗いのアイテムです。
野菜をモリモリおいしく食べたいけれど、表面の汚れやワックスが気になるという人はぜひ、たわしで野菜洗いをしてみてください。皮の残し具合や野菜の特徴に合わせて選べたり、また力加減でも調節できたりと、たわしは野菜洗いの必須アイテムですね!
お話を伺ったのは……
谷中店店長 野瀬尚子さん
今回お邪魔したお店は……
亀の子束子 谷中店
住所:東京都文京区根津2-19-8 SENTOビル1階A
定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合は営業、翌火曜が定休日に)
電話:03-5842-1907
さまざまな種類のたわしのラインナップに加え、おなじみの亀をモチーフにした雑貨類も充実。パンやお菓子も販売していて、小さなカフェコーナーも併設されています。たわしはオンラインストアでも購入することができます。
WRITER
フリーランスの編集ライター。食・子育て・住宅・インテリア・植物・ガジェットなど多岐にわたるジャンルで、ムックや雑誌、フリーペーパー、WEBコンテンツなどで執筆。高校生と中学生の2人の娘をもつ母であり、子どもたちの野菜嫌いを克服させるべく、献立に頭を悩ませる日々。野菜不足になりがちなので、毎日の食卓には手作りのピクルスを添えるよう心がけている。