ハリウッドスターをはじめ海外のセレブからも愛され、記念日にはここで食事をしたいというリクエストも多い「精進料理 醍醐(だいご)」。東京タワーにほど近い愛宕で71年の歴史を重ねた料亭です。
こちらで提供されるのは懐石形式の精進料理。その中から、ひと際彩り華やかな「八寸」をご紹介します。
この日はちょうど桃の節句にあたり、前菜、小附(こづけ)、吸物、お凌(しの)ぎに続いてコースの中盤に提供された八寸は、ひな祭りの趣向でハレの日ならではの特別感を湛えていました。扇形の器に、左から以下の6品がひと口大に品よく並びます。
- 「愛宕しぐれ」・・・地名の愛宕を冠したしぐれ煮。見た目は鶏そぼろのようで、肉々しい食感を楽しめます。
- 「金柑の蜜煮」・・・金柑を身がくずれないように甘く炊いたフルーティーな一品。あらかじめ、竹串で種を一つひとつ取りのぞいているため、そのまま丸ごといただけます。
- 「菱豆腐」・・・豆腐をなめらかに漉し、胡麻を加えて蒸した豆腐料理。ひな祭りを象徴する赤・白・緑の3色を重ねた菱餅に見立てています。
- 「菜の花の昆布締め」・・・菜の花を色よく湯がき、昆布で挟み数時間寝かせたもの。昆布の旨味と塩味をほんのりまとった一品。
- 「精進鮑(あわび)」・・・お酒、みりん、醤油でしぐれ炊きにした一品。見た目も食感も鮑のよう。
- 「長芋のしんびき粉揚げ」・・・長芋にもち米由来の細かい粒状の粉をまぶして揚げたもの。シャキッとした長芋とサクッと香ばしい衣の軽やかな食感も楽しめます。
懐石料理における「八寸」とは海のもの、山のものを彩りよく盛り合わせた季節を表現する一皿。たしか、精進料理は野菜や豆類、穀物だけで献立を組み立てる料理で、肉や魚を使わないのが鉄則のはず。この八寸には、まるで肉そぼろのような「しぐれ」や「鮑」も含まれています。これは一体どういうことなのでしょうか?