日本の暦と旬の野菜-秋
2024年は10月8日に迎える寒露。寒露は「葉の上にある露も、いつの間にか冷たくなっていた」という意味が込められています。
いよいよ、肌寒さを実感しはじめる時期ですね。
※二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つに分け、そこからさらに6つに分けた、約15日間の季節を表す言葉。現在は最初の日だけを指すことが一般的ですが、本来はこの15日間を表します。
※日本の暦は、旧暦(太陰太陽暦の暦法「天保暦(てんぽうれき)」)から、1872年にグレゴリオ暦(太陽暦)が採用され、新暦と呼ばれます。特別な表記がない場合を除き、日付は新暦です。
※二十四節気の日付は毎年異なり、1日程度前後します。
旧暦の9月9日に当たるこの頃には、重陽(ちょうよう)の節句という長寿を願う行事が行われていました。これは、もともと古代の行事で、奈良時代に日本へと伝播。習わしにお花の「菊」が使用されることが特徴です。
たとえば、宮中では酒に菊をうかべた「菊酒」を飲んだり、菊の花を観賞したりして楽しみました。今ではあまり行われなくなった行事(現在では新暦の9月9日に行われることも)ですが、当時の貴族を思い浮かべながら、日本酒にそっと菊を浮かべていただくのも風情があって素敵ですね。
旬のしいたけは、干すと栄養が変わる!?
秋の味覚といえばきのこ。今回は、きのこの中でもなじみ深いしいたけをご紹介します。
旬のしいたけは香りがよく、肉厚さも特徴です。春と秋に旬があり、3〜5月と9〜11月の年2回、おいしい時期をむかえます。
ところで、しいたけは生のものと乾燥のもので、栄養価が変わるのを知っていますか?
実は、しいたけは、日光をあてることによって、生よりもビタミンDが増えることがわかっています。干ししいたけと生のしいたけを比較すると、干しいたけのビタミンDは、なんと約14倍!(※乾燥しいたけの戻し率4倍で算出)。
時間があれば、買ったしいたけを15分〜1時間ほど日光にあててから食べてもいいですね。
また、しいたけといえば、抜群の旨味が特徴! しいたけの旨味とは、 グアニル酸というアミノ酸の一種で、こちらも干したものに豊富に含まれます。ジューシーなしいたけそのものを味わいたいときは生を、旨味をだしたいときは干ししいたけをと、好みによって使い分けるのがおすすめです。
<そのほかの旬の野菜>
そのほかの旬の野菜は、次の通りです。
- かぶ
- くり
- まいたけ
- さつまいも
- チンゲンサイ
旬の果物・真っ赤な実のざくろ
9月から11月頃にかけて、ざくろが旬をむかえます。真っ赤な粒がギュッとつまった実は、酸味の中にあるさわやかな甘味が特徴です。
ざくろには、生理機能を調整する女性ホルモン、イソフラボンに似た成分がふくまれることで知られています。そのまま食べるのはもちろん、ミキサーでジュースにすれば効率よく摂取できますよ。女性の悩みに寄り添ってくれる優秀な果物ですので、旬の時期にぜひいただきたいですね。
少しずつ空気の気配が変わりはじめる寒露。しいたけをはじめ、きのこが抜群においしくなる時期です。炊き込みご飯やホイル焼きなど、お好みの食べ方で秋の味覚を楽しみましょう。
参考文献
菅原龍幸,「きのこ類についての食品栄養学研究」 『日本食生活学会誌』, vol.10 No.4 ,2000,111-118頁
「食事摂取基準 2020年版」厚生労働省
「もっとからだにおいしい 野菜の便利帳」高橋書店/「二十四節気の暮らしを味わう日本の伝統野菜」株式会社G.B.
WRITER
管理栄養士。栄養・レシピ・ヴィーガンなど、食に関する記事をWEBコンテンツで執筆。その他、カフェのメニュー開発、料理動画制作などをして活動。これまでは給食提供のほか、離乳食指導や食育指導に従事。幼少期から茶道を習っており、日本文化が好き。こども食堂を開くのが夢!