日本の暦と旬の野菜-冬
2023年11月22日に迎える、小雪。少しずつ雪が降り始めますが、降雪量や頻度がすくないことから、この名がつけられました。茶道の世界では、茶室に赤色の椿が生けられ、いよいよ冬本番であることを想わせる時期です。
※二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つに分け、そこからさらに6つに分けた、約15日間の季節を表す言葉。現在は最初の日だけを指すことが一般的ですが、本来はこの15日間を表します。
※日本の暦は、旧暦(太陰太陽暦の暦法「天保暦(てんぽうれき)」)から、1872年にグレゴリオ暦(太陽暦)が採用され、新暦と呼ばれます。特別な表記がない場合を除き、日付は新暦です。
※二十四節気の日付は毎年異なり、1日程度前後します。
みのりに感謝する新嘗祭
毎年11月23日、全国の神社では新嘗祭(にいなめさい)がおこなわれます。
新嘗祭とは、神様のおかげで穀物がとれたことを感謝し、新穀をお供えするお祭りのこと。宮中祭祀の一つでもあり、新嘗祭の「新」は新穀、「嘗」は豪華な食事を表しています。
この新嘗祭は、実は起源が古く、日本最古の歴史書「古事記(こじき)」にもその名が記されています。現代では名前をかえ、「勤労感謝の日」として国民の祝日に指定されていますね。
名前を変えてもその意味はかわらず、収穫を感謝し、人々の働きを労う日と考えられています。忙しい中では、食事ができるまでの過程になかなか意識が及びませんが、この日をきっかけに農家の方や食事ができるまでの苦労に感謝したいものです。
旬のごぼうには食物繊維がたっぷり!
11月〜1月に旬を迎えるごぼうは、かおりがよくやわらかいのが特徴。煮物にしたり炊き込みご飯にしたり、さまざまな使い方で楽しみたいですね。
さて、ごぼうといえば食物繊維が豊富な野菜。その量はキャベツの約2.6倍にもなります(可食部100gあたりを比較)。ひとくちに食物繊維といっても種類があり、ごぼうには水に溶ける性質のイヌリンや、水に溶けない性質のセルロースという食物繊維がふくまれています。
それぞれ、水溶性の食物繊維は血糖値の上昇抑制にはたらき、一方で不溶性食物繊維は便秘予防に効果のある栄養素です。
香りがよく、健康にも役立つ食材ですので、ぜひ旬の時期に食卓に取り入れてみましょう。
<覚えておきたい、ごぼうの下ごしらえ>
ごぼうといえば、泥がやっかいな野菜ですよね。
洗いごぼうや、真空パックのものも使い勝手がいいですが、泥つきのごぼうを使うと、よりごぼう特有のしっかりとした風味を味わえます。
ここでは、ごぼうの下ごしらえで覚えておきたいポイントをご紹介します。
・表面についた泥は、流水にあてながらたわしなどでこすり洗いします。
・皮をむく場合は、包丁の「背」の部分で、削ぎ落とします。
・あくが気になる場合は、切った状態のごぼうを水に5分〜10分つけ、その後すすぎましょう。
皮は残しておくと風味が強くなるので、必ずしもむく工程が必要ではありません。お好みの状態に下処理してくださいね。
<そのほかの旬の野菜>
この時期に旬を迎えるそのほかの野菜は、次の通りです。
- れんこん
- かぶ
- かぼちゃ
- えのきたけ
- しゅんぎく
旬の果物・クランベリーはジャムで楽しむ
9月から11月に旬を迎える果物、クランベリー。
クランベリーは、少し暗い赤色の、見た目も可愛らしい果実です。その大きさは直径1センチほどになります。酸味とえぐみが強いことが特徴で、生食よりは、ジャムなどにするのがおすすめです。
また、クランベリー単体ではなく、いちごやブルーベリーなど、ほかの品種のベリー類と合わせていただくと、バランスの取れた味になりますよ。
手作りジャムは、甘さも調整できるうえ、果物のごろっと感を楽しめるのが醍醐味。旬のクランベリーで、自分好みのジャムを開発されてはいかがでしょうか。
雪が降り始めるこの季節、大昔は食べ物にも困ったことでしょう。
ありがたいことに、今の時代では文明の発達でそういった苦労もありません。収穫と日々食卓に関わってくださる方に感謝しながら、旬の食材を楽しみたいですね。
参考文献
厚生労働省e-ヘルスネット『食物繊維の必要性と健康』
日本人の食事摂取基準 2020年版
もっとからだにおいしい 野菜の便利帳(高橋書店)
WRITER
管理栄養士。栄養・レシピ・ヴィーガンなど、食に関する記事をWEBコンテンツで執筆。その他、カフェのメニュー開発、料理動画制作などをして活動。これまでは給食提供のほか、離乳食指導や食育指導に従事。幼少期から茶道を習っており、日本文化が好き。こども食堂を開くのが夢!