ようこそ、新顔野菜の部屋へ
vol.6 スイスチャード<Swiss chard>
vol.6 スイスチャード<Swiss chard>
ポップでカラフルな茎が特徴のスイスチャード。赤・黄・ピンクなどの鮮やかな茎と葉脈は、まるでジェリービーンズのようです。見た目のポップさが特徴的ですが、じつは栄養価も高いのです。
さらに、ビジュアルのかわいらしさに興味はあっても、どう食べたらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。今回は、気になるカラフルさの謎や栄養価などを解説しながら、スイスチャードのおいしさを活かすために知っておきたい、3つのポイントをご紹介します。
意外にも、身近な野菜かも!?
幼葉はベビーリーフとして食卓に
地中海原産のスイスチャードは、ビーツと同じアカザ科フダンソウ属に属し、和名は「不断草(ふだんそう)」。ビーツは根を食べるのに対し、スイスチャードは葉を食べるのが大きなちがいです。
日本では、茎に色がついていない品種が古くから食べられていますが、「うまい菜」「しろ菜」「あま菜」など、地域によっても呼び名が異なります。
じつは、スイスチャードの間引き菜などの幼葉は、ベビーリーフとして売られているんです。スイスチャードを知らなくても、赤い葉脈のベビーリーフは、みなさん一度は食べたことがあるのかも!? こうしてみると、わたしたちの食卓には、わりと身近な野菜だということに気づくかもしれません。
また、スイスチャードのカラフルな色は「ベタレイン」というポリフェノールの一種である色素成分によるもの。ベタレインは赤・紫系の「ベタシアニン」と、黄・橙系の「ベタキサンチン」があり、このバランスによってさまざまな色合いがつくりだされるのです。ベタシアニンは、前回ご紹介したビーツの色素成分でもあり、抗酸化力に優れています。同様に抗酸化作用をもつβ―カロテンも豊富です。
ほかにも、貧血の予防に欠かせない鉄分は、ほうれんそうの1.8倍(3.6mg/100g当たり)※1、体内の余分な塩分を排出してむくみ改善に作用するカリウムは、野菜の中でもトップクラス(1200mg/100g当たり)です。※1
カラフルな色で観賞用として楽しまれることもあるスイスチャードは、見た目だけでなく栄養価にもすぐれているのです。
※1出展:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
旬をおいしく味わうための、
知っておきたい3つのポイント
<ポイントその1>加熱調理では葉と茎を別にして
スイスチャードは、ほうれんそうと同じように茹でたり炒めたりして食べることができます。葉と茎では火の通りが異なるので、加熱する時には別々にして加熱するとよいでしょう。また加熱しすぎると色がくすんできてしまうので、加熱しすぎにも注意します。生でも食べることができるので、シャキシャキとした食感を残しつつ、カラフルな色を楽しめる程度に調理するのがおすすめです。
<新鮮なスイスチャードの見分け方>
茎や葉脈の色がきれいに発色しているもの、葉は濃い緑でしなびていないものを選びましょう。成長しすぎると筋っぽくなり食感が悪いので、茎が太すぎず長く伸びすぎていないものがおすすめです。
<ポイントその2>油を合わせて栄養価の吸収率アップ!
スイスチャードに豊富なβ―カロテンは、油と一緒に調理することで吸収率が上がります。少量の油を加えたお湯で下茹ですると、吸収率を上げながらも、ツヤが出て色もきれいに茹で上がりますよ。
また、油で炒める調理をしたり、味つけに香味油やドレッシングなどを使ったりするのもおすすめです。ほんのりと感じる苦みも油で包まれ、食べやすくなりますよ。
<ポイントその3>カルシウムの豊富な食材と組み合わせる
スイスチャードには、結石の原因となるシュウ酸が多く含まれています。シュウ酸が取り込まれると、体内のカルシウムと結合して結石化が進んでしまうことに。そこで、一緒に摂る食材でカルシウムを組み合わせることで、これを防ぐことができます。
カルシウムが豊富な牛乳やチーズなどの乳製品、ごま、ナッツ類、干しえびなどと組み合わせるのがおすすめです。
ライスサラダロール
【材料】
スイスチャード…8枚、玄米ごはん…1合、昆布…2g、塩水…適量(3%濃度)、白ごま…大さじ1、和風ドレッシング…適量
【作り方】
①スイスチャードは茎と葉を切り分ける。
②大きめのボウルやバットに①を入れ、漬かる程度の塩水と昆布を入れ一晩漬ける。
③水気をよく絞り、茎は8cm程度の長さに切る。
④玄米ご飯に白ごまを混ぜ合わせ8等分にする。
⑤葉を広げ下1/4くらいの位置にごはんを置き、中心に茎を置く。
⑥下から葉を巻き、両端を折りたたんで巻き終える。
⑦3等分にカットしお皿に並べたら、ドレッシングをかける。
【ポイント】
巻くときはロールキャベツと同じ要領で巻いていきます。ごはんは白ごはんや雑穀ごはんでもOK。茎は刻んでごはんに混ぜ込んでもカラフルに仕上がります。ドレッシングはオイルタイプの和風がおすすめですが、お好みのものでお召し上がりください。
スイスチャードのあるカラフルな食卓を楽しもう
スイスチャードは食べたことがなくても、白色茎のふだんそうやベビーリーフでは食べたことがあるかもしれませんね。ほうれんそうや小松菜を使うような料理をスイスチャードに置き換えてみると、カラフルな見た目で食卓が華やぐはず。1袋から、緑・赤・黄と何色も取り入れることができるのは、なんだかお得な気分になりますね。
色を上手に取り入れたり、葉の大きさを活かしたり、スイスチャードならではの色や形を楽しんでみてください。
イラスト/中川美香
WRITER
野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、野菜や果物のすばらしさをたくさんの方に知ってもらうため、おいしく食べて、キレイで健康に過ごすための情報を発信していきます!」