最近、よく耳にするようになった「プラントベースフード」や「サステナブルフード」などの言葉。なんとなくイメージはできても、実際にはどんな食品のことを指すのか、ヴィーガンやベジタリアンとの違いは何なのか、またどんな風に取り入れたらいいのか、わからないという人も多いのではないでしょうか。今回は、プラントベースフード初心者のみなさんに向けて、基本の“キ”からご紹介します。
プラントベースフードとは、自由に選択できる植物由来の食品
プラントベースフードとは、植物性の食材からなる食品を総称したもの。また、それらの食材を積極的に取り入れた食生活のことを指します。
※消費者庁からは、プラントベースフードに関する、食品表示ルールも明確化されています。
プラントベース食品の表示に関する消費者庁の情報
日本でも、最近頻繁に目にするようになった「大豆ミート」も、大豆を使ったプラントベースフード。代替肉として認識されてきましたが、肉の替わりではなく大豆をおいしく食べる加工品として進化しています。ほかにも、アーモンドミルクやソイミルク、豆腐のチーズ、豆腐干(とうふかん)、テンペなど、さまざまな食材がスーパーなどでも比較的手軽に手に入るようになってきましたね。しかし、このような代替食品でなくても、日本に古くからある食材の中には、プラントベースフードとして使えるものがたくさんあるのです。
※豆腐干……豆腐に圧力をかけて、水分を抜き、軽く乾燥させたもの。
※テンペ……インドネシアの伝統的な大豆発酵食品のこと。
プラントベースフードについて知りたい方は、こちらの記事をチェック!
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ところで、植物性の食品を摂る食生活といえば、「ベジタリアン」や「ヴィーガン」を思い浮かべる人が多いでしょう。ベジタリアン(菜食主義者)はさまざまなタイプがありますが、基本的な考えとして、肉類や魚介類などの動物性食品を摂らない人のこと。ヴィーガン(完全菜食主義者)はベジタリアンの中でも、卵や乳製品を含む動物性食品を摂らない人、また近年では、食以外の暮らしにおいても、動物由来のものを避けるライフスタイルを選択する人を指すことがあります。
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ベジタリアンやヴィーガンが、動物性食品を摂らない食生活なのに対し、プラントベースフードの考え方は、少し意味合いが違ってきます。
動物性食品も摂る食生活の人でも、たとえばお肉の代わりに大豆ミートなどを取り入れてみる、牛乳の代わりにアーモンドミルクを選んでみる、麺類の代わりに豆腐干にしてみるなど、自由に選択することができるのです。植物性の食品を選ぶことで、低脂質で繊維質を多く摂ることができ、より健康的な食生活を目指すことができます。つまり、ベジタリアンやヴィーガンでなくても、自ら健康的な食品を求める人たちの選択肢のひとつとして、プラントベースフードが注目されているのです。
なぜ今、プラントベースフードが注目されているのか
<1>地球や環境に優しい選択肢ができる
近年、地球温暖化や海洋ゴミの問題などがニュースでも頻繁に取り上げられ、私たちの意識もかなり高まっているのを感じることはありませんか? たとえば、海洋ゴミに関しては、プラスチック製のストローの消費が減ったり、マイボトルを持ち歩く人が増えたり、エコバックが当たり前になったりと、私たちの生活の中でもかなり浸透してきていますよね。
また、地球温暖化は温室効果ガスの排出が原因ですが、日本の農林水産分野での排出量のうち、牛などの家畜から発生する量が30%を占めます。そこで、畜産に比べて環境負荷が小さい大豆を原料とした大豆ミートなどの代替肉が注目されはじめ、まさに“持続可能な食”の開発が進められているのです。
<2>世界的な食糧不足について考える
国連の調査によると、現在77億人とされている世界の人口は、2050年までに97億人になると予測されています。つまりこのまま人口が増加していけば、食料が今よりももっと必要になり、生産性を高めることは必須となるでしょう。しかし、地球温暖化によって、ある場所では雨がたくさん降って洪水が起こっていたり、ある場所では雨が降らずに干ばつが続いたりと、地球環境は農作物や漁業などに大きく影響を与えているのです。
これからの人口増加にともなって、食糧不足が起こることが予測される中で、私たちは持続可能な「食」の確保をしていかなければいけません。今すぐにどうなるという問題でなくても、自分たちの子どもたち、そのまた子どもたちと、未来のことを思って食を選択していくことも大切ではないでしょうか。
<3>健康志向への興味や関心が高まっている
ヘルシーなライフスタイルへの憧れ、また健康志向への意識の高まりも、プラントベースフードが注目されている要因のひとつ。これには、新型コロナ感染症に対する不安感や、それにともなって働き方やライフスタイルが変化したことも影響しているでしょう。また、地産地消という考え方、オーガニックなものを積極的に選ぶなど、個人個人の食に対するこだわりが強くなっている傾向もあるようです。
これらの意識の高まりによって、その選択肢のひとつに、プラントベースフードを選ぶ人も増えていると考えられます。
気軽にプラントベースフードを取り入れるには
スーパーなどでも手に入りやすくなってきたプラントベースフードですが、やはり初心者では、どう調理したらいいのかと、一歩踏み出すのに躊躇している人も多いのではないでしょうか。そこでぜひおすすめなのが、まずは外食で試してみること。この食品なら続けられるかも、これはちょっと苦手かもなど、自分が取り入れられそうなものを見つけてみるのもいいですね。
まんぷくベジでご紹介している、プラントベースフードが味わえる店をチェックしてみましょう。
▶ヘルシーだけど満足感あり!大豆ミートがあるお店
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最近人気のヴィーガンスイーツやアフタヌーンティー、またおうち飲みにもおすすめのケータリングもチェックしてみましょう。
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外食で試してみたら、ぜひご家庭でも実践してみましょう。こんな風に使えば、おいしく味わえるんだ!ということがわかれば、プラントベースフードに対するハードルも低くなるはず。また、昆布や椎茸だしを使ったお味噌汁や昔ながらの和食なども、地球環境に優しいプラントベースフードということを知っておくことも大切ですね。
WRITER
フリーランスの編集ライター。食・子育て・住宅・インテリア・植物・ガジェットなど多岐にわたるジャンルで、ムックや雑誌、フリーペーパー、WEBコンテンツなどで執筆。高校生と中学生の2人の娘をもつ母であり、子どもたちの野菜嫌いを克服させるべく、献立に頭を悩ませる日々。野菜不足になりがちなので、毎日の食卓には手作りのピクルスを添えるよう心がけている。