白さ際立つ舟形の葉野菜チコリ
おいしさを活かす3つのポイント

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vol.13 チコリ<Chicory>

ふっくら丸みをおびて、透き通るような白さのチコリ。葉を一枚ずつはがすと、舟形のフォルムをしていて、前菜の盛りつけに使われているのを一度は見たことがあるでしょう。今回はチコリのおいしさを活かすために知っておきたい、3つのポイントをご紹介します。

色白なのは、陽に当てずに栽培するから!

チコリの写真


チコリはキク科の植物で、白菜の芯に似たような形。もともとはとても苦い植物ですが、陽に当てない軟化栽培をすることで、苦味を和らげています。若い芽の部分を食用としているため、ほろ苦さの中にもシャキシャキとした食感が楽しい野菜です。


ヨーロッパ原産で、チコリ(Chicory)は英語。フランスではアンデイーブ(Endive)、イタリアではラディキオ(Radicchio)と呼ばれ、どれかは聞いたことがあるかもしれませんね。


フランスのアンディーブは、フリルレタスに似たエンダイブと名前が似ているため、混同されてしまうことが多いです。また、白葉のものが一般的ですが、赤葉の品種もあります。
 

栄養面においては、イヌリンという水溶性食物繊維が含まれていることが特徴的。血糖値の上昇を抑えるとして注目されている成分で、キク科の植物には多く含まれていることが分かっています。とくに根に豊富に含まれるため、ヨーロッパではチコリの根はハーブとしても利用されています。また、苦味成分はタンニンというポリフェノールによるもの。抗酸化作用が高く、アンチエイジング効果も期待できる成分です。

 

 

旬をおいしく味わうための、知っておきたい3つのポイント

チコリの写真

 

 

<ポイントその1>
見た目を活かした、華やかな盛りつけに

チコリの写真


チコリといえば、イメージするのが葉をカップに見立てたオードブルでしょう。葉を一枚ずつていねいにはがして、洗ったものを使います。生ハムやサーモン、チーズなどのちょっとしたおつまみをお好みでのせるだけで、華やかでおしゃれな前菜ができあがります。


葉をそのまま持って食べるフィンガーフードは、パーティーシーンにとてもよく合いますよね。

 

 

<ポイントその2>
つけ根部分を切り落として苦味を軽減

チコリの写真


苦味が強いと感じる時には、つけ根部分を切り落とすようにすると食べやすくなります。根元に近い部分は苦味が強いため、苦手な方は根元を少し切り落としてみてください。


もしくは、りんごと一緒に刻んでサラダにすると、りんごの甘味と酸味で苦味がだいぶ軽減されますよ。ドレッシングは、オイルとビネガーのシンプルなものがおすすめです。ハムなどを加えてもおいしいです。

 

 

 

<ポイントその3>
加熱料理にも合わせやすい

チコリの料理写真


オードブルやサラダなど、生で食べるイメージの強いチコリですが、加熱して食べると、また違った食感が楽しめます。フランスでは、茹でたチコリ(アンディーブ)をハムで巻き、グラタンにしたものが家庭料理として親しまれています。加熱することで、またハムやソース、チーズなどの旨味も加わって、とてもマイルドな苦味に。生の苦味はちょっと…という方には、ぜひ試して欲しい食べかたです。

 

 

<チコリ(アンディーブ)のグラタン>

チコリの料理レシピ

【材料】チコリ(アンディーブ)…3個、大きめのハム…6枚、バター…30g、小麦粉…30g、牛乳…500cc、ピザ用チーズ…80g、レモン果汁…小さじ1、塩こしょう…適量

 

【作り方】
①チコリは縦半分に切り、鍋に入れ、1/3くらいの高さまで水を入れる。蓋をして弱火で15分蒸し煮にする。
②鍋から取り出したチコリをハムで巻く。
③鍋にバターを溶かし、小麦粉を加えて炒めたら、牛乳を少しづつ加えてのばしていく。
④チーズの半量を加えて溶かしたら、塩こしょうで味を整え、火を止めてレモン果汁を加える。
⑤グラタン皿に②を並べ、④のソースをかけて、残りのチーズをかける。
⑥220℃のオーブンで15分、またはトースターで焼き色がつくまで焼く。

 

【ひとことアドバイス】

・ベシャメルソースにはナツメグを加えても、風味よく仕上がります。

・市販のベシャメルソースを使用してもOK(レモン果汁だけ加えるのがおすすめ)。

・ハムは厚切りのロースハムがおすすめです。


 

 

健康効果も高く、日本で定着する日は近い!?

チコリの写真


ヨーロッパでは、レタスやキャベツのように一般的に食べられるとてもポピュラーな野菜。水耕栽培が可能なため、日本においても国産チコリを栽培する生産者さんが増えてきています。生食も加熱もおいしいうえ、発芽野菜であるチコリはその栄養価の高さも注目していきたいものです。健康効果も高いとなれば、日本で一般的に食べられる日は近いのかもしれませんね。




イラスト/中川美香

 

 

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WRITER

小島香住
Kasumi Kojima

野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、
野菜や果物のすばらしさをたくさんの方に知ってもらうため、おいしく食べて、キレイで健康に過ごすための情報を発信していきます!」