ようこそ、新顔野菜の部屋へ
vol.18 フェンネル<Fennel>
vol.18 フェンネル<Fennel>
甘い香りが特徴のフェンネル。葉や茎だけでなく、根・花・種まで余すことなく利用できることでも人気のハーブですね。今回はフェンネルのおいしさを活かすために知っておきたい、3つのポイントをご紹介します。
甘い香りは、消化促進や喉の調子を整える作用も!
フェンネルはセリ科のハーブで、地中海が原産。繊細でふわふわした葉と、セロリのような茎、たまねぎのような根元をしていて、アニス (※)に似た甘い香りが特徴です。
ウイキョウやフィノッキオとも呼ばれ、ヨーロッパでは薬草としても親しまれています。
※アニス……ほのかな甘みを感じさせる、独特の香味をもつスパイス。世界でもっとも歴史の古いスパイスのひとつ。
一般的に見られる株元が膨らんでいるものは、フローレンスフェンネルと言って、葉が大きく広がっています。一方で株元が膨らまず、スリムで背丈も小ぶりなタイプのものをスティッキオと言い、香りが穏やかで風味が苦手な人にも食べやすいのが特徴です。
フェンネル特有の甘い香りは、アネトールという香気成分で、葉だけでなく茎や種にも含まれています。アネトールには、消化促進や喉の調子を整える作用があり、生薬としても使われています。
また種子には抗菌作用もあることから、インドでは食後にフェンネルシードを噛む習慣もあります。インド料理店で、砂糖でコーティングされたフェンネルシードが置いてあるのを見たことがあるのではないでしょうか。
ほかにも、カリウムが豊富なのでむくみの予防にも効果が期待できます。
旬をおいしく味わうための、知っておきたい3つのポイント
<ポイントその1>
部位ごとに分けて使いこなそう
花から種まで食べられるフェンネルは、部位ごとに分けて使っていくのがポイントです。
やわらかい葉は茎から外してやさしく洗い、魚料理やピクルス、スープなどの香りづけに使います。茎は小口切りにしてサラダにしたり、洋風の出汁をとることもできます。株元の部分は煮込むとやわらかくなり、セロリに似た味わいを楽しめます。ホクホクになるのでポタージュにもアレンジができますよ。
<ポイントその2>
株元はカットの工夫で食感を楽しむサラダにも
フェンネルの株元は少し硬いので、煮込み料理にすることも多いですが、生でもおいしく食べることができます。少し筋っぽいので、縦半分にカットしたら横向きに置き、繊維を断つようにうすくスライス。すると筋っぽさがなくなり、歯ごたえの心地よい食感に仕上がります。
柑橘など香りが強い食材と組み合わさると、爽やかで食感が楽しいサラダを楽しむことができますよ。
<フェンネルとオレンジのサラダ>
【材料】
フェンネル…1個、オレンジ…1個、ブラックオリーブ…10粒、オリーブオイル…大さじ4、塩こしょう…少量
【作り方】
①フェンネルは茎と葉に分け、茎は半分に切り横方向にスライスする。葉は食べやすい大きさにちぎる。
②オレンジは皮をむき、ひとくち大に切る。
③材料をすべてボウルで混ぜ合わせ、お皿に盛る。
【ひとことアドバイス】
・フェンネルの茎は繊維を断ち切ると口当たり良く仕上がります。
・お好みでナッツ類を加えるのもおすすめです。
・鯛や鮪などを合わせてボリュームのあるカルパッチョ風にアレンジも可。
<ポイントその3>
種はスパイス使いにも便利
種はフェンネルシードとして販売されています。ホールのものは魚料理やソースに使われるほか、食感を活かして焼き菓子などにも使われます。パウダーにしたものは、カレーのスパイスとして使われているほか、中国の五香粉(ウーシャンフェン)にも使われているので、一度は口にしたことがあるでしょう。
料理の仕上がりが一気に格上げされる風味なので、ひとつ持っているととても便利です。
万能ハーブで香り華やかな料理を
フェンネルは輸入品が多いですが、日本では北海道や長野県でも栽培されています。国産品の旬は4~6月ですので、その香りを存分に楽しんでみてくださいね。
葉から種まで食べられるフェンネルは、部位ごとに使いこなせばとても万能なハーブ。豊かな香りは、どんな料理にも相性がよく、仕上がりを華やかにしてくれるでしょう。
イラスト/中川美香
WRITER
野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、野菜や果物のすばらしさをたくさんの方に知ってもらうため、おいしく食べて、キレイで健康に過ごすための情報を発信していきます!」