定番野菜が極上な一菜一皿に
白菜
白菜
淡白な味わいで、クセがなくいろいろな料理に使うことができる白菜。とくに、鍋や漬物には欠かせないですよね。最盛期は11月〜2月で、家庭でも冬場に食べられることが多いですが、外食産業などの業務用では年間を通して需要があり、産地や品種を変えて周年栽培がされています。交雑がしやすい白菜は、じつは種類が多いのをご存知ですか?今回は、そんな白菜と向き合っていきます。
白菜
体内のナトリウムバランスを保ち、利尿作用があるカリウムを豊富に含みます。白菜は水分も豊富なため、その効果が高いと期待されます。免疫力アップのほか、鉄分やコラーゲンの吸収を助ける働きのあるビタミンCも豊富です。
<おもな栄養素>
カリウム、ビタミンC、ビタミンK
白菜の色や大きさは、時代に合わせて変化した!?
白菜は英名で「Chinese cabbage」と呼ばれるように、中国を原産とする野菜で、かぶと漬け菜の一種が交雑してできたとされています。日本には、明治になって伝来し、日清・日露戦争で出征したものが種を持ち帰り、栽培が普及しました。
白菜というと葉がギュッとしまっているものを思い浮かべますが、これは結球型というもの。
ほかには、半結球型や不結球型の品種もあり、登録品種は500品種以上と推定されています。
かつては芯の色が白色のものが良品とされていましたが、少しずつ、内側がほんのり黄色の黄芯系が主流になりました。これは、白菜がカットして売られることが多くなり、切った時の見た目の良さも理由のひとつと言われています。また最近では、鮮やかなオレンジ色のオレンジ白菜や、食べきりサイズのミニ白菜、生食向けの品種なども人気を集めています。
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カスミ子先生から、ひとことアドバイス
「タイニーシュシュ」という生食向けのミニ白菜も人気よ!
野菜と塩だけで熟成させる「発酵白菜」
発酵白菜とは、中国の東北地方の保存食で、酸菜(スヮンツァイ)と呼ばれる酸っぱい白菜の漬物です。白菜を塩漬けにするだけのシンプルなものですが、自然の常在菌の力によって乳酸発酵が進み、酸味が出てきます。乳酸菌が豊富でほどよい酸味と、白菜の旨みが凝縮され甘みが引き出されるのが特徴です。浅漬けとは違い、塩漬けにして発酵させているため、保存性が高まり、常備しておくととても便利。また、使いきれない白菜をまとめて消費できるのもうれしいポイントです。
白菜の豊富なビタミンCは、水に溶けやすく加熱で壊れやすい特性がありますが、発酵白菜にすれば栄養の損失も防ぐことができます。漬けておいて出てきた水分には、旨みや栄養が溶け出しているので、ぜひ一緒に食べるようにしましょう。
そのまま食べるのはもちろん、炒めものに使ったり、豚肉などと合わせて鍋に入れたりと、使い勝手も抜群ですよ。
発酵白菜のレシピ
材料
・白菜…300 g
・塩…小さじ1(白菜の2%)
作りかた
① 白菜は軸と葉に分け、軸は3cmのそぎ切り、葉は5cmのざく切りにする。
② ジッパー付きの保存袋に軸と半量の塩を入れ、揉み込む。
③ 葉と残りの塩を加えて、よく揉み込む。
④ 空気を抜いてジッパーを閉じ、20℃前後の室温で3日ほど発酵させる。
⑤ 酸味が出てきたら完成。冷蔵庫で保存する。(1ヶ月ほど保存できます)
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カスミ子先生から、ひとことアドバイス
時間をおくとさらに発酵が進んで、酸味の変化も楽しめるわよ!
白菜の軸についた、黒い点々の正体とは?
白菜の軸に黒い点々がついていた経験はありませんか?これは、ゴマ症と呼ばれる生理現象。土壌の肥料(窒素)が過剰になったり、天候の影響だったり、さまざまな要因が考えられていますが、おもに外的なストレスに白菜の細胞が対応しようとすると、ボリフェノールが蓄積して黒い点となって表れるのです。アブラナ科の野菜に起こることが多く、白菜に限らず、キャベツや小松菜などにも表れる現象です。
ポリフェノールが蓄積したものなので食べても問題はありません。カビや傷みなどを間違えて捨ててしまわず、おいしく食べてくださいね。
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カスミ子先生から、ひとことアドバイス
気になる部分だけ削ぎ取れば、見た目も気にならないわよ!
まとめ
鍋の時期になると、買う頻度が高くなる白菜ですが、じつは大きさや色など種類も豊富。原産地中国の寒さが厳しい地域では、冬の間に食べられる野菜として、白菜を発酵させて保存をしていました。日本の漬けものや韓国のキムチと同じように野菜を食べる知恵が、中国にもあったのですね。自然の力で発酵させた白菜には、乳酸菌が豊富です。旨みや栄養も凝縮していて、カラダにうれしいおいしさです。
WRITER
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野菜や果物のおいしさやすばらしさ伝えるべく、時には優しく、時には厳しくアドバイス。いつもしっかり者でありながら、野菜のこととなると、ついついムキになってしまうかわいらしい一面も。中の人は、野菜ソムリエプロ&管理栄養士の小島香住さん。