フランスの台所では定番のエシャロット
おいしさを活かす3つのポイント

ようこそ、新顔野菜の部屋へ
vol.21 エシャロット<Shallot>

小型のたまねぎのような見た目の、エシャロット。フランス料理では風味づけに欠かすことのできない香味野菜です。日本ではあまり馴染みがないせいか、似た名前の「エシャレット」と混同してしまうこともしばしば。今回は、エシャロットのおいしさを活かすために知っておきたい、3つのポイントをご紹介します。

エシャロットとエシャレットって、何が違う?

エシャロット

エシャロットは中央アジアが原産とされ、中東で栽培されていたものがヨーロッパに持ち込まれて、フランスやイタリアでは家庭料理でも一般的に使われるようになりました。日本では輸入品が多く、料理店などが扱う程度。家庭で使われることはまだまだ少ないでしょう。

 

名前や見た目などから、エシャロットとエシャレットはよく混同されます。エシャロットは、フランス語の「Echalote」をそのまま読んだもので、英語では「shallot」。小さいたまねぎのような見た目をしていますが、たまねぎほど甘みはなく、刻んでソースなどに加えて香りを楽しみます。たまねぎと同様に、皮が茶色のものと紫色のものがあります。

 

エシャロット

一方のエシャレットは、軟白栽培(野菜類の茎葉を白く柔らかく育てること)したらっきょうを若採りしたもので、根らっきょうとも呼ばれます。一般的ならっきょうより香りやクセが少ないため、生のままで味噌をつける食べかたが日本では馴染みがあります。

 

この2つの野菜は、栄養面でも似ている点があります。それは、アリシンという香味成分が含まれること。アリシンは生で刻んだ時に出てくる香り成分で、たまねぎにも含まれていて、血液をサラサラにする作用が有名です。

 

 

 

旬をおいしく味わうための、知っておきたい3つのポイント

エシャロット

 

 

<ポイント その1>
たまねぎとにんにくの一人二役

エシャロット

香味野菜として使われるエシャロットは、たまねぎとにんにくのそれぞれの特徴を持っているというと分かりやすいでしょう。たまねぎのようなシャリっとした食感と、にんにくのような旨みや香りをほんのりと感じることができます。

 

調理法は、刻んだりすりおろしたりしてソースに混ぜることが多く、ドレッシングに混ぜて使うこともあります。生では爽やかな辛味を感じ、加熱すればコクが出てくるので、温度によって風味の変化を楽しめます。

 

 

<ポイント その2>
肉や魚のおいしさを引き立てるサポート役

エシャロット

エシャロットはそれ自体が主役になることは、あまりありません。コク出しや風味づけに使われることが多く、匂い消しとして使われる場合も。ソースやドレッシングに仕立てたものは、肉料理や魚料理に添えられて、メイン食材の味をサポートする位置付けで、欠かせない存在なのです。

 

 

<ラヴィゴットソース>

 

エシャロットのラヴィゴットソース

 

【材料】
トマト…1/4個、エシャロット…15g、ピクルス(コルニッションやガーキン)…15 g、パセリ…5 g、ディジョンマスタード…15 g、ワインビネガー …30 g、オリーブオイル …120 ml、塩こしょう…適量

 

【作りかた】

①トマトは角切りに、エシャロット、ピクルス、パセリは細かく刻む。
②ボウルにマスタードとワインビネガー、塩こしょうを入れて撹拌し乳化させる。
③①を加えて混ぜ合わせる。
④トマトを加えてやさしく混ぜ合わせる。

 

【ひとことアドバイス】

・調味料を先に乳化させておくのがポイント。

・パプリカなどを加えても彩りよく仕上がります。

・焼いた魚や肉にかけてお召し上がりください。

・ゆで卵を刻んで加えることもあります。

 

 

<ポイント その3>
アジアンテイストの楽しみかたも

エシャロット料理

ヨーロッパ野菜のエシャロットですが、原産は中東アジアということもあり、タイ料理にも多く使われます。これまで紹介してきたものは「ベルギー・エシャロット」とも呼ばれ、ヨーロッパで栽培が広がったものですが、「タイ・エシャロット」と呼ばれるタイで栽培されているエシャロットがあるのです。ピリッとした辛味と旨みのある風味を感じることができるのは、ベルギー・エシャロットとほぼ同じ。タイ・エシャロットよりもサイズの小さい「ホームデーン」というものが使われることもあります。

 

スープにしたり、刻んで油で揚げたものを料理の仕上げにかけたりする食べかたは、日本のアジアン料理店で見かけたことがあるのではないでしょうか?

 

 

 

エシャロットは、唯一無二の香味野菜

エシャロット

名前が似ているエシャレットに間違われたり、見た目が似ているたまねぎに間違われたりと、その存在はまだあまり知られていないエシャロット。しかし、フレンチなどの洋食だけでなく、アジア料理にも使われていることもあり、日本人の多くは1度は口にしたことがあるはずです。

 

エシャロットが料理に欠かせない香味野菜であり続けるのは、たまねぎでも、にんにくでも、らっきょうでもない、唯一無二の味わいだからなのです。

WRITER

小島香住
Kasumi Kojima

野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、
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