定番野菜が極上な一菜一皿に
キャベツ
キャベツ
日本で売られているキャベツは、日本の四季に合わせて品種開発されてきたことをご存知ですか?中でも、春に出回るキャベツは、ふんわりやわらかい食感で人気がありますね。
ところで、キャベツをサラダにする時に塩もみをすると思いますが、ただ水分を出せばよいということではないんです。この塩もみにこそ、サラダのおいしさの鍵が隠されているのですよ。今回は、そんなキャベツと向き合っていきましょう。
キャベツ
胃腸薬の名前の由来にもなっている「ビタミンU(別名キャベジン)」が含まれていることで有名なキャベツ。胃腸を健康に保つことは、免疫力を高めることにもつながります。また、ビタミンCや食物繊維も豊富なことから、皮膚や粘膜の健康維持効果も期待できます。
<おもな栄養素>
ビタミンC、ビタミンK、ビタミンU、カルシウム、食物繊維など
季節ごとに変わる味わいも楽しみ
丸く結球(葉が、一枚一枚巻きながら重なっている)しているキャベツですが、原産はヨーロッパの地中海あたりとされ、もともとはケールのように葉が広がった姿をしていたそう。ギリシャ・ローマ時代には、すでに食用とされていて、1000年ほど前に今のような結球するキャベツ形になったと言われています。
日本には、江戸時代になって伝わり、オランダ人が持ち込んだことから当時は「オランダ菜」と呼ばれていたこともありました。
昭和の中頃になってから、和洋中どの料理にも使いやすいマルチな野菜として、消費量が急増。現在は、野菜の生産量第3位を誇り、食卓に欠かせない野菜となっています。※1
しかし、キャベツは気候の影響を受けやすい野菜でもあるのです。四季がある日本においては、季節に合った品種が開発されるようになり、春先に出回る春キャベツ、夏~秋に高冷地で生産される夏秋キャベツ、冬に出回る寒玉キャベツの3種類におもに分類され、年間を通して供給できるように工夫されています。
春キャベツは葉がやわらかく、色も鮮やかなことから、サラダなどの生食としても人気が高いです。そのため、春キャベツが出回る時期が、1年でもっともキャベツの出荷量が多くなるのです。一方で、巻きがしっかりしている寒玉は、冬の寒さを耐えしのぐために、キャベツが糖分を蓄えることから、加熱することで濃厚な甘みを感じることができます。夏秋キャベツは高原キャベツとして、ブランド化されているものもありますね。
※1 出典:農林水産省「令和4年産野菜指定産地の作付面積、収穫量及び出荷量」
カスミ子先生から、ひとことアドバイス
春キャベツの中心部分が、キャベジンがいちばん多いのよ!
シンプルなのに止まらない、キャベツだけのコールスローレシピ
キャベツをシンプルに味わうのにおすすめなのが、コールスロー。コールスローとは、オランダ語の「koolsalade(キャベツサラダ)」が語源になっていて、英語で「coleslaw」と表記します。特に、やわらかく甘みのある春キャベツは、コールスローにおすすめ。彩りや食感で、にんじんやたまねぎが入ることが多いですが、野菜はキャベツだけにして、シンプルさを追求してみては?
コールスローの調理でポイントになるのは、キャベツの塩もみ。しっかり水分を出すことで調味料を馴染ませやすくするだけでなく、程よい下味をつけるために欠かせない工程です。なんとなくおこなっているかもしれませんが、じつは塩もみでサラダのおいしさが決まる、と言っても過言ではないほど。キャベツの重量に対して、2%の塩をきちんと計量して加えるようにするのがポイント。全体に丁寧にまぶしたら時間をおいて、ギュッと力を入れて水分を絞ります。
塩もみをちゃんとおこなっておけば、調味料は最低限でOK。今回は、ヨーグルトとマヨネーズに、にんにくの風味をプラスします。ブラックペッパーで味を締めれば、シンプルなのに止まらないおいしさのサラダが完成。そのまま食べるのはもちろんですが、トーストにバターを塗った上にたっぷりのせると絶品です。
材料
・キャベツ…600g(約1/2個)
・塩…小さじ2(2%塩分量)
・にんにく…1片
・プレーンヨーグルト…大さじ5
・マヨネーズ…大さじ5
・塩…ひとつまみ
・ブラックペッパー…お好みで
作りかた
① キャベツは千切りにして、塩を和えたら20~30分置いておく。
② 水分をギュッと絞り、ボウルに入れてほぐす。
③ にんにくをおろして加え、ヨーグルト、マヨネーズをさらに加えて混ぜ合わせる。
④ 塩とブラックペッパーで味を整える。
カスミ子先生から、ひとことアドバイス
塩もみは、野菜重量に対して2%塩分量が鉄則よ!
ふんわり感がポイント。保存にもやさしさを
おいしい春キャベツをお店で選ぶ時は、次の3つをチェックしましょう。
・まん丸な形をしているもの
・見た目よりもふんわりしているもの
・カットしてあるものは、芯の高さが1/3くらいのもの
キャベツを保存する時は、芯をくり抜いて、湿らせたキッチンペーパーをくり抜いた穴に詰めておきます。芯をくり抜いておくと、成長点を除去できるので、キャベツがエネルギーを消費せずに済みますし、芯の切り口から葉をはがせるようになるため、最後まできれいに使い切ることができます。
また、外葉で包んで保存するのもポイントです。最初の2枚ほどをはがしたら、保存用に残しておきます。外葉で包むことは、クッションとしての役割と、乾燥からも守ることができるというメリットが。最後に大きめのポリ袋やラップで包んで保存すると、おいしさをキープしたまま保存することができますよ。
カスミ子先生から、ひとことアドバイス
お店で外葉を捨ててしまってはだめよ!
まとめ
消費量が多く、食卓には欠かせないキャベツ。季節を問わず楽しめるのは、日本の気候に合わせた品種開発が進んだおかげなのですね。
春に出回るふんわりとやわらかい春キャベツは、春野菜の中でも人気の高い野菜。寒い冬を越えて、日差しの温もりが心地よくなってきた頃には、シンプルで飽きのこない春色サラダがぴったりです。シンプルであるからこそ、下処理は丁寧に、キャベツの量に対して塩分量を必ず計量して使うことを忘れないようにしましょう。季節の変わり目で、少しお疲れ気味の胃腸にも、春キャベツのおいしさが染み渡りますね。
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