定番野菜が極上な一菜一皿に
トマト
トマト
主力の大玉にはじまり、大きさや甘さ、色などさまざまな品種が楽しめるトマト。日本の食卓に欠かすことのできない主力野菜でありながらも、多くはサラダなどの生食で食べられています。じつはトマトは、丸ごとそのまま冷凍が可能。冷凍することで、調理の手間を省くことができて、保存期間ものばせるんです。今回は、そんなトマトと向き合っていきます。
トマト
有名なリコピンはトマトの赤い色素成分で、抗酸化作用が高く、さらに免疫機能を高める効果が期待されます。「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど。若返りのビタミンと呼ばれるビタミンEやビタミンCも豊富に含まれることから、美容野菜としての人気も根強いです。
<おもな栄養素>
リコピン、ビタミンC、ビタミンEなど
トマト大好きな日本人。野菜の中でもダントツの購入金額!
トマトの原産は南米のアンデス高原。トマトという名前は、メキシコの先住民の言葉で膨らむ果実という意味の「トマトゥル」が由来だと言われています。別名では、ラブアップル(愛のりんご)と呼ばれることがあり、その赤い果実が昔はとても価値のあるものでした。
じつは、日本には古くから伝わっていたことが判っています。16世紀の大航海時代にメキシコのトマトがスペインに伝わり、その後17世紀には日本に入ってきましたが、当時は赤い実に毒があると伝えられていて、観賞用として育てられていたそう。日本が開国して、明治維新によってたくさんの西洋野菜が持ち込まれた中に、西洋ではすでに食用とされるようになったトマトが入っていたことから、日本でもトマトの食用が始まったという歴史があります。
大きさや色など、さまざまな種類があるトマト。日本だけでも300品種が登録されていて、その数におどろくかと思いますが、世界のトマトはさらに多種多様。なんと、10000品種もあると言われています。日本ではサラダとして生食することがほとんどですが、世界では加熱用のトマトも多く栽培され、トマトソースなどの原料としても利用されています。
日本人のトマト好きは、データからも見ることができます。野菜産出額においては、野菜類全般に1年で2兆円を超える金額が支払われているなか、トマトは2,240億円の産出額があり、全体の10%を占めダントツなのです。
図1:野菜産出額の品目別割合
つまりは、日本で一番食べられている野菜なのですね。実際、ご自宅には大きさなどに限らず、トマトは大抵常備してあるのではないでしょうか。しかし、世界のトマト消費量は日本をはるかに超えていて、日本人が1年で消費するトマトの量は平均で7kgと世界平均の17kgを大きく下回っているのです。消費上位の国では加熱料理に使われることも多く、トマトをたくさん消費する場面が多いのでしょう。
図2:国別トマト消費量(kg / 人 / 年)
カスミ子先生から、ひとことアドバイス
サラダ以外の食べかたを増やしていきたいわね!
丸ごと冷凍で湯むきの手間なし、トマトの白だし漬け
水分が多いトマトは、冷凍に不向きなイメージがありますが、実は丸ごと冷凍も可能。さらには、冷凍することで皮が簡単にむけるようになって、扱いやすくなりますよ。通常、トマトの皮は湯むきが一般的。ただし、切り込みを入れたトマトを熱湯に潜らせてから氷水で急冷するので、お湯を沸かしたり、氷水を準備したりと手間がかかります。それが、冷凍しておくと、凍ったトマトを水に浸すだけで、スルンと皮がむけるようになるのです。
皮をむいた冷凍トマトは、白だしと一緒に「だし漬け解凍」がおすすめ。解凍の段階で、だしが染み込んでジュワッとしたおいしさが広がります。火を使わずに作れる極上の一皿、暑い時期にさっぱりといただけるのもうれしいですよね。
サラダでも煮込み料理でもない、トマトのおいしさを丸ごと楽しめるこの一皿で、さらにトマトの消費量がアップすることでしょう。
トマトの白だし漬けのレシピ
材料
・トマト…1個
・白だし…適量
・大葉…お好みで
作りかた
① トマトはヘタをくり抜いて、ジッパー付き保存袋に入れ冷凍する。
② 凍ったトマトを水に浸し、皮をむく。
③ 皮をむいたトマトをジッパー付き保存袋に戻し、白だしをひたひたに加える。
④ 空気を抜いてジッパーを閉じ、冷蔵庫で1時間ほど置く。
⑤ お皿に盛り、お好みで大葉を添える。
カスミ子先生から、ひとことアドバイス
冷凍する前にヘタをくり抜いておくのがポイントよ!
お気に入りの品種探しを楽しむのも良き
トマトは、スーパーでも売り場面積が広く、さまざまな品種が並んでいます。定番の大玉トマトのほか、お弁当や付け合わせに便利なミニトマトなど、大きさはもちろん、色や形もさまざまですよね。最近人気があるのは、糖度の高いフルーツトマト。実はフルーツトマトは日本でできたことをご存知でしょうか。
フルーツトマトは、1970年に高知県で塩害が起こった年に収穫したトマトが、小粒なのに非常に甘かったことから栽培がはじまったといわれています。天災によって偶発的にできたものなのですね。一般的なトマトは糖度6度くらいですが、栽培管理によって糖度が10度を超える高糖度のフルーツトマトが生産できるようになりブランド化。フルーツトマトはギフトとしての需要も高まっています。
さらに、クッキングトマトと呼ばれる、加熱用の品種にもこの機会に挑戦してみてはいかがでしょうか。生食用のものとは違い、そのままでは固かったり酸味が強かったりしますが、加熱によって旨みが引き出される様子も楽しめるでしょう。
カスミ子先生から、ひとことアドバイス
フルーツトマトは品種ではなく、高糖度トマトの総称なのよ!
まとめ
野菜産出額がトップで、日本の食卓には欠かすことのできない存在になっていても、世界で比較するとまだまだ消費量が少ないトマト。サラダ以外のトマトの食べ方がもっと広まれば、日本のトマト消費量が世界に追いつく日も遠くはないのかもしれません。生でも、加熱しても、さらには冷凍してもおいしく味わえるトマトを、いろいろな食べ方で楽しんでみてくださいね。
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