日本の暦と旬の野菜-冬
大寒とは、その名の通り、1年で最も寒さが厳しい時期で、暦上では冬の最後の節気です。
この一番寒いころ、茶道では「暁の茶事(あかつきのちゃじ)」が開かれます。
暁の茶事とは、年暮れから2月頃の早朝5時頃に行う茶事のこと。極寒の夜明けの風情を楽しみます。冬の澄んだ空気に溶け込む、窯の湯気と、早朝の薄暗さがとても幻想的です。
※二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つに分け、そこからさらに6つに分けた、約15日間の季節を表す言葉。現在は最初の日だけを指すことが一般的ですが、本来はこの15日間を表します。
※日本の暦は、旧暦(太陰太陽暦の暦法「天保暦(てんぽうれき)」)から、1872年にグレゴリオ暦(太陽暦)が採用され、新暦と呼ばれます。特別な表記がない場合を除き、日付は新暦です。
※二十四節気の日付は毎年異なり、1日程度前後します。
大寒におこなう「寒仕込み」
大豆・米などを原料とした発酵食品を、この一番寒い時期に仕込むと良いといわれています。これを、「寒仕込み」といいます。寒仕込みをすると良い食品には、大豆を原料とする味噌や醤油、米を原料とする日本酒などが挙げられます。
では、なぜ冬の時期に仕込む必要があるのでしょうか。
それは、発酵食品の仕込みや熟成中に、雑菌が繁殖するのを防ぐためです。発酵食品の発酵には、酵母菌や納豆菌などの、微生物を繁殖させる必要があります。繁殖には、長期間の熟成が不可欠です。しかし、暑い時期だと余計な雑菌の繁殖も盛んになるもの。
このような理由から、仕込みには大寒が最適と言われるようになりました。
豊富な栄養素を含む、春菊
この時期の旬の野菜、春菊の栄養についてご紹介します。
独特な香りが特徴的な、春菊。名前の通り、菊科の野菜です。実は、豊富な栄養素が含まれていることを、ご存知ですか?
春菊の主な栄養素と働きをまとめました。
・葉酸を豊富に含むため、妊娠初期の女性におすすめ
・鉄分が豊富
・香り成分が自律神経に働く
特に葉酸は、妊娠初期の女性は、意識して摂取したい栄養素の一つです。食品からの摂取がなかなか難しいので、サプリメントなどに頼っている方も、多いのではないでしょうか。
春菊に含まれる葉酸は、100gあたり、190μgの葉酸です。これは、キャベツの約2.5倍ほどに相当します。
一方、鉄分の含有量はどのくらいなのでしょうか。
春菊に含まれる鉄は、100gあたり、1.7mgです。キャベツやナスの同グラムでは、鉄分は0.3mg。比較すると、非常に豊富に含まれていることが分かりますね。
鉄分は、貧血予防に役立つため、積極的に摂取したい栄養素の一つです。
さらに、春菊の香り成分は、自律神経に作用する働きがあります。食欲の増進や、せきを鎮める効果があるので、風邪予防に最適ですね。寒さが厳しく、体調も崩しやすくなる時期。おいしく旬の野菜を食べて、健康な体を作りましょう。
<おすすめの保存方法>
春菊は、葉物野菜なので、比較的傷みやすい野菜です。
用途が多い旬の野菜を、腐らせてしまってはもったいないもの。
正しい保存をしてしっかり使い切りましょう。
おすすめの保存方法は、以下の通りです。
・葉を上にし、たてて保管する
・冷蔵庫で保管
・ペーパーや新聞紙で葉を包む
・根の部分(切り口)に、湿ったティッシュなどをあてておく
<そのほかの旬の野菜>
大寒の季節に旬を迎えるそのほかの野菜は、以下の通りです。
- ふきのとう
- キャベツ
- ねぎ
- ブロッコリー
- ほうれんそう
この時期に美味な果物はりんご!
2月に入ると、柑橘類のほか、いちごやりんごなどの果物も店頭に並び始めます。
この時期、特においしいのはりんごです。りんごは、皮に豊富なポリフェノールを含みます。
苦手でなければ、皮をむかずに食べてみましょう。抗酸化作用があり、コレステロール値を下げる効果もあります。
りんごには、非常に多くの種類が出回っていますが、この時期が旬なのは、有名なものだと「王林」や「ふじ」があります。
旬の時期の食べものは、特に栄養を豊富に含んでいるものです。
食べ比べてみるのも、面白いかもしれませんね。
一年で一番寒い時期、大寒。
季節の変わり目に近づく頃なので、免疫力を高めておきたいものです。
旬の野菜や果物を食べて、風邪予防に役立てましょう。
WRITER
管理栄養士。栄養・レシピ・ヴィーガンなど、食に関する記事をWEBコンテンツで執筆。その他、カフェのメニュー開発、料理動画制作などをして活動。これまでは給食提供のほか、離乳食指導や食育指導に従事。幼少期から茶道を習っており、日本文化が好き。こども食堂を開くのが夢!
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