日本の暦と旬の野菜-春
啓蟄(けいちつ)とは、二十四節気の一つで、2024年は3月5日に迎えます。難しい漢字で、なじみのない名前ですよね。
啓蟄の「啓」は、ひらくという意味があります。また、「蟄」は、動物や昆虫が冬眠のために穴にこもる、という意味をもつ漢字です。
つまり啓蟄は、冬に冬眠していた動物や昆虫が穴から出てくる、という意味になります。いよいよ、本格的に暖かくなる季節になったことがイメージできますね。
茶道の世界では、3月に入ると、釜をつるして使う「つり釜」を使用します。これは、気候が暖かくなってきたため、釜を火から遠ざけ、お湯が熱くなりすぎないよう配慮したもの。
人も動物も、春の訪れを実感し、行動に変化が現れるのが、この啓蟄の時期です。
※二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つに分け、そこからさらに6つに分けた、約15日間の季節を表す言葉。現在は最初の日だけを指すことが一般的ですが、本来はこの15日間を表します。
※日本の暦は、旧暦(太陰太陽暦の暦法「天保暦(てんぽうれき)」)から、1872年にグレゴリオ暦(太陽暦)が採用され、新暦と呼ばれます。特別な表記がない場合を除き、日付は新暦です。
※二十四節気の日付は毎年異なり、1日程度前後します。
春の風物詩、菰(こも)はずし
神社や庭園で、松の幹にわらのむしろが巻かれているのを、見たことはありませんか?
あのわらのむしろのことを「菰(こも)」といい、啓蟄の日に、菰を取る習わしがあります。
この菰はずしは、松の木を枯らす原因となる、害虫の駆除のための行事。まず、立冬の頃に菰を松の幹に巻き、葉に付いていた害虫を菰に誘い出します。そして迎えた、啓蟄の日。暖かくなり、虫が外に出ようとする前に菰をはずして焼くことで、害虫を駆除するという仕組みです。
菰はずしは、春の風物詩の一つ。
近所で行っている場所があるかもしれません。ぜひ、チェックしてみてくださいね。
旬の野菜・うどにはアンチエイジング効果が!?
この季節にぴったりな春のお野菜は、うど。山菜の一つで、その新芽を食す野菜です。ほろ苦い味わいと、シャキシャキとした食感がたまりませんよね。
今回は、うどについて詳しくご紹介します。
<うどの栄養と効果>
うどは、苦味成分であるクロロゲン酸と、カリウムが豊富な食材です。
・クロロゲン酸
うどの苦味は「クロロゲン酸」によるもの。これはポリフェノールの一種で、活性酸素から体を守る、抗酸化作用があることが知られています。
抗酸化作用には、次の2つの効果が期待できます。
①アンチエイジング
②生活習慣病の予防
・カリウム
カリウムは、浸透圧の調整に関わる栄養素。塩分を体外に排出するのを促進してくれるので、次のような効果があります。
①血圧低下
②むくみの改善
<うどのアク抜きの仕方>
うどを食べるときは、食感とみずみずしさを味わうために、ぜひ生で召し上がってください。
サラダに入れたり、酢味噌あえにしたりするのがおすすめです。
ただ、クロロゲン酸は、えぐみ成分でもあります。そのため、アクが強いのも事実。
そこで、アク抜きの仕方をご紹介します。
ポイント!酢水にさらす
下処理で、酢水にさらすことでアクが抜けますよ。
うど1本に対する酢水の割合は「水 500:酢 大さじ1」くらいを目安に。
酢の味が付くのが嫌なら、水にさらすだけでも大丈夫です。
全く下処理をしないと、えぐみがどうしても気になるので、一手間かけてあげてくださいね。
<そのほかの旬の野菜>
この頃に旬を迎える、そのほかの野菜には、次のようなものがあります。
- のびる
- ふき
- たけのこ
- あしたば
- つくし
旬のいちごは、美肌づくりに効果的!
啓蟄に旬を迎える果物は、みんなが大好きな、あのかわいらしい赤い果実。そう、いちごです!
ビタミンCが豊富な果物で、美肌づくりにも効果的な果物です。今は、いろいろな品種が出回っていますが、比較したことはありますか?
有名な品種と、その特徴を簡単にまとめました。
紅ほっぺ ……静岡の特産で、大粒なことが特徴。甘味が強い。
あまおう ……福岡産。色が濃く、大粒で糖度が高め。
とちおとめ ……栃木産。中粒で、甘味がつよい王道のいちご。
虫や動物の動きも活発になる、春の訪れ、啓蟄。
野菜も果物も、春らしいものが出回る季節です。
旬の食べ物を味わって、生活に春を取り入れたら、きっと素敵な一日が過ごせますよ。
WRITER
管理栄養士。栄養・レシピ・ヴィーガンなど、食に関する記事をWEBコンテンツで執筆。その他、カフェのメニュー開発、料理動画制作などをして活動。これまでは給食提供のほか、離乳食指導や食育指導に従事。幼少期から茶道を習っており、日本文化が好き。こども食堂を開くのが夢!
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