江戸東京野菜、ちぢみ系、雪下野菜など、冬においしいお野菜トーク。食物繊維の上手な取り方も

まんぷくベジ座談会 〜2月編 vol.2〜
【野菜を毎日!まんぷくベジ350プロジェクト】

野菜好きが集まる、まんぷくベジ編集部。「最近、お店で〇〇が並びはじめたよね」「今って、どんな野菜に注目してる?」など、野菜談義は尽きません。そこで、野菜ソムリエで管理栄養士でもある小島香住さんを交えて、編集部メンバーがどんなトークをしているのか、毎月ご紹介。

野菜の価格高騰が続いていますが、その中でも比較的手頃な価格で手に入るのが、こまつなやほうれんそうなどの葉モノ類。そこで今回は、冬に出回る葉モノ野菜の楽しみ方や、食物繊維不足になりがちな時期の野菜の取り入れ方について語ってみました。

<座談会参加者>

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小島香住さん
野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は2歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。「まんぷくベジ」メンバー。
 
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スタッフ4名
あり、くりた、ささか、あじさん。「野菜350g」をまんぷくベジも提唱します!でも、実際に何に気をつければいいのかなど、疑問だらけ……。
 



 

色は地味でも、栄養価は満点!冬だからこそ出回る野菜を楽しもう

 

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あり
 
2月の野菜は、根菜類や白菜、大根など、ちょっと地味~な野菜がメインで、何となく目新しい野菜がないような……。みなさん、最近どんな野菜を食べていますか?
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ささか
 
青モノなら、しゅんぎく、こまつな、ほうれんそうがたくさん出回る時期ですよね。
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くりた
 
こまつなは、もういいわ~ってぐらい食べてます!(笑)               

 

小松菜

 

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あじさん
 
東京出身の人だからそう思うのかも。青森では、こまつなはあまり馴染みがなくて、私は東京にきてから食べるようになりました。東京近郊の野菜というイメージです。
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小島さん
私、こまつなの産地近くに住んでいたので、小さい頃からよく食べていましたよ。家の裏にこまつなの畑があったぐらい。こまつなは最近、“江戸東京野菜”としてブランド化をしようとしているみたいです。
 
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小島さん
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あり
 
こまつなで作った「小松菜焼酎」とかあるみたいですね。テレビで観ましたが、生のこまつなで割った酎ハイも人気のようで、ちょっと気になります!
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小島さん
でもやっぱり、全国区で冬定番の青モノといえば、ほうれんそうですよね。指定野菜14品目にも入っていますし、冬のほうれんそうはとても甘くて、栄養価も高いんです。「ちぢみほうれん草」など、冬にしか食べられない品種があったりと、意外と奥が深いんですよ。

※指定野菜14品目 …… 国が定めている、野菜のうちでとくに消費量の多いもの。ほかに、キャベツやきゅうり、だいこん、たまねぎなど。
 
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小島さん
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あり
 
「ちぢみ小松菜」という品種もあるとか。“ちぢみ系”をあえて選ぶのって、冬野菜の楽しみ方のひとつですよね。

 

雪下野菜

 

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小島さん
以前から気になっているけど、なかなか手が出せてないのが雪下野菜です。雪下にんじん、雪下はくさい、雪中キャベツなど、2月下旬から3月ぐらいに出回ってきます。雪の下で越冬して、甘みマックスなんですよ!
 
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小島さん
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ささか
 
わあ、食べてみたい!気になる!                             
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くりた
 
冬のこの時期は、夏のようにカラフルな野菜があれもこれもと出回るわけではないけど、地味ながらもおいしい野菜は実はたくさんありますね。ほうれんそうだけでもいろいろな種類があるように、野菜の深掘りができる時期かもしれないです。

 

 

食物繊維不足の解消には、バランスのよい野菜摂取と白米を

洗いごぼう

 

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くりた
 
新ごぼうが出回り始めましたね。私、ごぼうを見るといつも「そうだ食物繊維!」って反射的に考えちゃうんですよね。香りや食感も好きなんだけど、機能のほうが先に浮かんじゃいます。
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あり
 
野菜って、「食べないと食物繊維不足になる」というイメージがありますが、私自身、食物繊維についていまいちわかっていないかも…。実際に、食物繊維はどう体にいいのですか?
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小島さん
食物繊維には、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があります。不溶性食物繊維は水に溶けにくい繊維質で、便のカサを増やしたり、ふわふわにすることで、便が出やすくなるんです。
 
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小島さん
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あり
 
不溶性の食物繊維のおかげで、便の状態をよくなるんですね!                         
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小島さん
もう一つの水溶性食物繊維は、おもにネバネバ成分。たとえば、めかぶやとろろのネバネバがそうです。あとは、りんごに含まれているペクチンも。りんごジャムは、ペクチンがあることでどろっと仕上がるんです。このネバネバ成分の粘性によって、栄養分の吸収をゆるやかにしてくれて、さらに血糖値が急激に上昇するのも防いでくれるんです。
 
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小島さん
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あじさん
 
厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準」の2025年版では、1日の理想的な摂取目標量は成人で25g以上になりましたね。
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小島さん
食物繊維の摂取目標量に近づけるためにも、1日で野菜350gを食べることは大切ですよね。
これに加えて、果物200gも摂れるようにするとよりいいと思います!
 
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小島さん
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あり
 
食物繊維不足にならないために、具体的にどんな野菜を食べるといいんでしょうか。       
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くりた
 
先日私が、大腸の検査をしたときに、検査前には控えてくださいと言われていたのは、ごぼう、さつまいも、かぼちゃ、ふき、トマト、こんにゃく、きのこ類、海藻類などでしたよ。あとは、果物はキウイやいちごも。これらは繊維が多くて、検査に支障が出やすいということでした。逆にいうと普段は、積極的に摂りたい野菜や果物ということですよね(笑)。
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あり
 
そうすると、食事には必ず、水溶性と不溶性の食物繊維が入っているものを食べるのがいいんでしょうか。
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小島さん
食物繊維は、野菜だけじゃなくて、白米など他の食品にも入っているんですよ。それと、食物繊維をもつ食品には、水溶性と不溶性の両方が含まれていて、その量や比率が違うんです。ただ、バランスがよく含まれているのが、ごぼうやバナナですね。
 
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小島さん

 

バナナ

 

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あじさん
 
なるほど。野菜を1日で350g食べて、それをバランスよく摂ることで、自然と食物繊維も摂れるということですね!
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小島さん
よく、糖質オフダイエットで白米を抜く人がいますが、白米を抜くから、食物繊維が不足してしまうというのもあるんです。白米は炭水化物ですが、炭水化物が分解されると糖質と食物繊維になります。白米を抜くと、糖質をオフにすることはできますが、同時に食物繊維不足にもなってしまいます。そうすると、便秘がちになったり、それによって肌荒れが起こってしまったり、健康的になれないということもあるんです。
 
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小島さん
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くりた
 
私たちは、どうしてもカロリーばかり気にしちゃって、大切な部分があまり見えてないのかもしれないですね。
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小島さん
食品の裏の表示を見ると、一番上にエネルギー量(カロリー)が表示されていますよね。その下にはたんぱく質、脂質、炭水化物と続き、炭水化物から一段下がって、糖質、糖類、食物繊維と表示されているんです。みなさん、どうしてもカロリーばかり気にされますが、食物繊維の量もチェックしてみると、どんな食品にどのぐらいの食物繊維が含まれているかがわかりますよ。
 
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小島さん

 

 


 

寒さが厳しくなる2月は、フレッシュな野菜が食卓から遠のいてしまいがち。でも、雪の中で越冬した、甘くて栄養満点の雪下野菜やちぢみ系野菜が味わえたり、これから出始める新ごぼうなどで食物繊維を上手に摂ったりと、冬ならではの楽しみ方ができる時期なのです。家時間が長くなる時期だからこそ、いつもは注目しない野菜にもぜひ、挑戦してみてはいかがでしょうか。

WRITER

内田あり
Ari Uchida

フリーランスの編集ライター。食・子育て・住宅・インテリア・植物・ガジェットなど多岐にわたるジャンルで、ムックや雑誌、フリーペーパー、WEBコンテンツなどで執筆。高校生と中学生の2人の娘をもつ母であり、子どもたちの野菜嫌いを克服させるべく、献立に頭を悩ませる日々。野菜不足になりがちなので、毎日の食卓には手作りのピクルスを添えるよう心がけている。