定番野菜が極上な一菜一皿に
ピーマン
ピーマン
苦味や青臭さが強いため、ピーマンを苦手に感じつつも、豊富な栄養に魅力を感じて食べている人も多いかもしれません。近年では食べやすく改良された品種も出ていますが、選び方や食べ方によって苦味が感じにくくなることはご存知ですか?今回は、そんなピーマンと向き合っていきます。
ピーマン
組織がしっかりしているため、加熱してもビタミンCが損失しにくいのが特徴。ピーマン特有の香りはピラジンという成分によるもので、血液中の血小板の凝集(散らばったりしていたものが、一つに集まり固まること)を抑える働きがあり、生活習慣病の予防効果が期待されています。
<おもな栄養素>
β-カロテン、ビタミンC、ピラジン
戦後の日本を救った!? 貴重だった緑野菜
ピーマンはナス科トウガラシ属の野菜。とうがらしの甘味種のうち、ベル型という品種がピーマンと呼ばれています。もともとはフランス語で、大型で甘味のあるものを「piment」といい、それが訛って、日本では「ピーマン」と呼ばれるようになりました。
原産地は中央アメリカから南アメリカの熱帯地方で、大航海時代にコロンブスがヨーロッパにとうがらしの辛味種を持ち帰ったことをきっかけで、世界中に広がったと言われています。
日本には、明治の初期にアメリカから導入されましたが、一般的に食べられるようになったのは戦後になってから。まだまだ知名度のなかったピーマンでしたが、戦後の食糧不足の中でも規制がなく栽培することができ、さらに実付きのよさから学校給食に導入されたことがきっかけだったようです。その後、高度経済成長期の食の洋風化の中で、ビタミンCが豊富なことなどが注目され、一気に浸透していきました。
一般的にピーマンとして流通しているものは、中型で緑色をした肉薄なもの。この緑のピーマンは未熟なうちに収穫したもので、ビタミン類を豊富に含んだ栄養野菜として定着しています。一方で、その特有の苦味によって、子どもの苦手な野菜の代表格でもありますね。近年では、完熟させたカラーピーマンやこどもピーマンなど、苦味が苦手な人でも食べやすい品種も人気が出ています。




カスミ子先生から、ひとことアドバイス
パプリカはカラフルな大型ピーマンの種類よ!
氷漬けで、心地よいパリパリ感と甘さを楽しむ「冷やしピーマン」
ピーマンと言えば、独特の苦味が特徴で、子どもが苦手な野菜にもランクインするほど。この苦味は、ピラジンという香り成分と、ポリフェノールの一種であるクエルシトリンの渋味成分が合わさることで、苦味として感じています。これらの成分は、ピーマンの細胞壁が壊れた時に出てくるので、繊維を断ち切る「横切り」よりも、繊維に沿って切る「縦切り」の方が、苦味の感じ方が弱くなります。苦味が苦手な人は、切り方にも気をつけるとよいでしょう。
また、温度によっても苦味の感じ方は変わります。加熱すると細胞壁が壊れて、ピラジンやクエルシトリンが流出しますが、反対に冷やすと細胞壁が引き締まって、これらの成分をしっかり閉じ込めてくれます。
今回はこの特徴を活かした、冷やしピーマンのレシピをご紹介。ピーマンを生のまま氷水で冷やすだけの、シンプルすぎるレシピですが、冷やしたことで苦味が抑えられて食べやすくなります。また、パリパリとした心地よい食感も楽しめますよ。
マヨネーズや味噌などをつけて食べるのもおいしいですが、おすすめはオイル漬けナッツのちょい乗せ。ナッツの香りやフライドオニオンの旨味などが、ピーマンの甘さを引き立てます。
冷やしピーマンのレシピ
材料
・ピーマン…4~5個
・氷水…適量
<オイル漬けナッツ>
・素煎りアーモンド…15g
・フライドオニオン…10g
・しょうゆ…小さじ2
・太白ごま油…大さじ2
作りかた
① ピーマンは縦半分に切り、種とワタを取り除く。
② 氷水に浸け、1時間ほど冷蔵庫で冷やしておく。
③ アーモンドを細かく刻む。
④ 刻んだアーモンド、フライドオニオン、しょうゆ、太白ごま油を混ぜ合わせる。
⑤ ピーマンがしっかり冷えたら、お好みで④を乗せていただく。

カスミ子先生から、ひとことアドバイス
ワタも丁寧に取っておくと食感や見た目も良くなるわよ!
おいしいピーマンの見極め方は、六角形のヘタ!
ピーマンを選ぶ際に、色ツヤなどのチェックは自然としていると思いますが、ここではもう1つ見てほしいポイントをご紹介します。それは、ヘタの形。ヘタの形を見ると、育ちのよさが分かるのです。
ピーマンのヘタはよく見ると、四角形・五角形・六角形と形に違いがあるのをご存知ですか?ヘタは、花のがく片(花びらの下の部分)の名残のため、花が咲いたあと、がくの部分がそのままヘタに変化します。つまり、「花のがく片の数=ピーマンのヘタの角の数」になるのですが、しっかりと育った株の花はがく片が多くなる傾向があり、それがヘタの形=育ちのよさの目安にもなるというわけです。
ヘタがきれいな六角形をしているものは、花の作りがしっかりしていた証であり、つまりは株の力が強かったため、味がよいものである目安になります。色ツヤだけでなく、ぜひヘタの形にも注目してみてくださいね。

カスミ子先生から、ひとことアドバイス
ヘタに黒ずみがないか、しおれていないかも要チェックよ!
まとめ
戦後の食糧難に学校給食で広まり、栄養価の高さから定着したピーマン。特有の苦味によって苦手な人も多い野菜ですが、切り方や温度によっても苦味の感じ方が変わってくるのが不思議な魅力です。育ちのよさがヘタで見極められるということも覚えておくと、苦味との付き合い方も上手になってくるのではないでしょうか。
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