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vol.15 タアサイ<Tacai/搨菜>
vol.15 タアサイ<Tacai/搨菜>
濃い緑色でちぢれた葉。顔よりも大きく四方に広がるタアサイは、一見するとクセが強そうに思われますが、ほとんどクセはなく葉はやわらかい青菜です。
今回はタアサイのおいしさを活かすために知っておきたい、3つのポイントをご紹介します。
タアサイは、冬のちぢみ菜の親品種
色の濃さや茎の形状から、ほうれんそうの仲間のように思えますが、結球しないはくさいの仲間です。中国が原産で、パクチョイというチンゲンサイとよく似た中国野菜の変種とされています。タアサイという名は中国語で「押し潰された」という意味から名付けられたのだとか。
黒緑色のツヤのある葉は、ちりめんのように独特で、くっきりとした葉脈があります。茎は葉に比べると色も大きさも控えめで、縁の下の力持ちのようにその大きな葉を支えています。
同じようにちりめん葉で知られる「ちぢみほうれん草」はタアサイが親種であり、同じく冬の寒さによって甘みが強くなる野菜として人気です。また、宮城県などの東北地方を中心に栽培される「ちぢみ雪菜」もタアサイの変異種と言われており、冬のちぢみ菜人気の火付け役と言っても過言ではないでしょう。
色の濃さから分かるように、緑黄色野菜に分類されβ-カロテンがとても豊富で、白菜の約24倍も含まれています。(タアサイ:2200μg/100g、はくさい:92μg/100g)※1
※1:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
旬をおいしく味わうための、知っておきたい3つのポイント
<ポイントその1>
下茹で要らずで、加熱は短時間で!
はくさいの仲間であり、味にクセはなく食感はとてもやわらかいのが特徴。苦味などもほとんどありません。冬の寒さにあたったものは糖分をたっぷり蓄えているので、甘さが際立ちます。
下茹でなどの必要もありませんから、鍋や炒めものなどにそのまま使うことができます。火の通りが早いため、加熱は短時間でOK。変色しにくいので作り置きにも扱いやすいです。
<タアサイとじゃがいもの中華風サラダ>
【材料】タアサイ…1/2株、じゃがいも… 2個、米酢…小さじ2、★味噌…大さじ1/2、★すりごま…小さじ2、★ごま油…小さじ1、★砂糖…小さじ1
【作り方】
①じゃがいもは皮をむき、角切りにして耐熱容器に入れレンジで600W×3分加熱する。
②タアサイは2cm 幅に切り、耐熱容器に入れレンジで600W×40秒加熱する。
③じゃがいもが熱いうちに米酢をふりかけ、全体を混ぜ合わせる。
④大きめのボウルに★の調味料を混ぜ合わせる。
⑤ ②と③を和える。
【ひとことアドバイス】
・じゃがいもが熱いうちに、米酢と合わせて下味をつけます。
・タアサイを加熱した際に水分が出たら、軽く絞っておくと水っぽくなりません。
・ごま油を亜麻仁油や荏胡麻油に置き換えてもOKです。
<ポイントその2>
油との相性良し、おひたしにもひと工夫を
中国野菜でもあるタアサイは油との相性がとても良いのも特徴です。緑色が鮮やかになるだけでなく、甘味や旨味を引き出す効果もあります。さらに、β-カロテンの吸収率も油によって上がるため、油を一緒に調理することを意識してみてください。
炒めものなど油を使う料理はもちろんですが、おひたしなどには油揚げを加えたり、ごま油などを少量加えたりするのがおすすめです。風味もよくなるので、料理の仕上がりもワンランクアップしますよ。
<ポイントその3>
冬と夏で見分けてほしい目利きポイント
冬に旬を迎えるタアサイですが、夏場でも栽培は可能です。冬と夏の気温の違いによって、育ち方が変わる特性があります。
冬場のタアサイは、よりたくさんの日光を浴びることができるように、葉を地面に這わせるように広がっていきます。一方で夏場のタアサイは、十分に日光を浴びているため、茎が立った状態で育ちます。
冬葉は葉が平たく盃状に広がっているもの、夏場は茎が長く立っているものが、良いタアサイの目利きポイントになりますので、おさえておきましょう。
使い勝手、コスパの良さも人気の理由
クセがなく、何にでも合わせやすいタアサイ。特に冬場のものは、甘さが最高な頃です。
短時間で火が通る使い勝手の良さはもちろんのこと、顔よりも大きく広がるタアサイは、1株でたっぷり楽しめます。そんな、お財布に優しいところも、冬のちぢみ菜人気に火を付けた理由なのでしょう。
イラスト/中川美香
WRITER
野菜ソムリエプロ&管理栄養士。食品メーカーでの営業・商品企画開発・メニュー開発などの勤務を経て、現在は1歳の男の子の育児をしながら、WEBサイトやInstagramで野菜の情報を発信。セミナー講師としても活動している。
「まんぷくベジでは、野菜や果物のすばらしさをたくさんの方に知ってもらうため、おいしく食べて、キレイで健康に過ごすための情報を発信していきます!」
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