日本の暦と旬の野菜-春
二十四節気で、2024年の2月19日は「雨水(うすい)」にあたります。なぜ、この時期の節気に「雨」を使ったのでしょうか?
その由来についてご紹介します。
立春がすぎ、少しずつ春に向かって暖かくなる、この時期。同時に、雪解けが始まります。雨水とは、「暖かくなるにつれて、雪が、雨に変わる時期」という由来で名付けられました。
なお、茶道では、この頃、小さな春を知らせるかのような、かわいらしい椿の花が飾られます。
人々が、春の訪れを少しずつ予感し始める季節です。
※二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つに分け、そこからさらに6つに分けた、約15日間の季節を表す言葉。現在は最初の日だけを指すことが一般的ですが、本来はこの15日間を表します。
※日本の暦は、旧暦(太陰太陽暦の暦法「天保暦(てんぽうれき)」)から、1872年にグレゴリオ暦(太陽暦)が採用され、新暦と呼ばれます。特別な表記がない場合を除き、日付は新暦です。
※二十四節気の日付は毎年異なり、1日程度前後します。
上巳(じょうし)の節句に人形を飾る理由とは?
2月19日頃からの約15日間を指す「雨水」。中でも3月3日は上巳(じょうし)の節句といい、世間では雛(ひな)祭りを行います。
雛祭りとは、人形を飾って、女の子の健やかな成長を願う行事のこと。
桃の花を飾ったり、ちらし寿司を食べたりと、ご家庭に女の子がいる方は、経験があるのではないでしょうか。雛祭り自体は3月3日に迎えますが、雛壇の七段飾りは、立春の2月4日〜雛祭りの1週間前くらいまでに、早めに飾ります。
なぜ、雛祭りに人形を飾るようになったのでしょう?
起源は、日本で古くから行われた、「祓(はら)い」の文化です。昔から、日本では自然の力を借りて、厄災などの穢(けが)れを取り除く習わし=祓いがありました。最初の頃は、浜辺や川の中で水による祓いを行っていたのが、徐々に発展していきます。
そして、身の穢れを、人の形を模した「撫(な)でもの」に移し、祓うようになりました。
これがさらに形を変え、現在の美しい雛人形になったのです。
<雛祭りに食べる縁起のいいもの>
雛祭りに食べると、縁起が良いとされているものをご紹介します。
・ひなあられ
雛祭りといえば、見た目も可愛いひなあられ。
もち米をいって、砂糖で味付けし、着色したものです。
いっているときに よく弾けると、その年は良い年になるといわれています。
・ちらし寿司
「腰が曲がるまで長生きする」と長寿を願うえびや、「見通しが良い」穴があいたれんこんを使う、縁起がいいお寿司です。
・はまぐりのお吸い物
はまぐりは、綺麗な海でしかとれない貝。
また、元の貝同士でしか合わさらないので、清らかな夫婦仲の象徴として、食べられるようになりました。
旬の野菜・大根には消化酵素がたっぷり!
今回ご紹介する旬の野菜は、定番野菜の大根です!
大根は、12月〜2月に食べごろを迎える野菜。春の七草にも入っており、七草では「すずしろ」にあたります。
胃もたれ防止や風邪予防に効果的!
大根の根は、アミラーゼやプロテアーゼという消化酵素を含んでいます。そのため、胃腸に優しく、消化を助けてくれる働きがあります。また、大根の根は、免疫系に働くビタミンCも豊富!
それぞれの働きを、もう少し詳しくご紹介します。
・アミラーゼ(消化酵素)
アミラーゼは、デンプンを分解してくれる酵素。炭水化物の消化を助けてくれるので、ご飯との相性がいいです。胸焼けや胃もたれなどを予防してくれる働きがあります。
・プロテアーゼ(消化酵素)
プロテアーゼは、たんぱく質を分解する消化酵素。そのため、お肉やお魚なとの相性がいいです。
・ビタミンC
大根の根には、ビタミンCがとても豊富!
季節が移り変わる時期なので、寒暖差で体調を崩さないか、心配ですよね。ビタミンCは、植物性の食品からの鉄の吸収を促します。そうして、免疫を高めるのを助け、風邪や感染症にかかりにくい体をつくってくれます。
<大根のおすすめの食べ方>
・大根おろし
大根の消化酵素をうまく活用するなら、大根おろしにするのがおすすめ。
その理由は、消化酵素は熱に非常に弱いためです。
生のまま、おろして肉や魚に添えることで、消化をうまく助けてくれる働きを期待できます。
また、臭いを消すのにも役立ちますよ。
・ふろふき大根
消化酵素を豊富に含む新鮮な大根は、加熱すると甘味が出るのが特徴。
熱で酵素の働きは低下しますが、美味しく味わうことができますよ。
旬の大根は、ぜひじっくりたいて甘味を出す、ふろふき大根で。素材そのものの味わいを楽しむことができます。ゆずを添えると、さらに香りが良くなりますよ。
<そのほかの旬の野菜>
この時期に旬を迎えるその他の野菜には、以下のような野菜があります。
- みょうが竹
- はくさい
- こまつな
- みずな
- せり
- 芽きゃべつ
甘くてほろ苦い果物・きんかん
この時期、きんかんが旬を迎えます。
きんかんは、1月から3月にかけて、旬を迎える果物。まるくて小さな形がとても可愛らしいですよね。
きんかんは、皮ごと食べられるので、栄養素を丸ごと摂取できます。皮は甘さと、ほろ苦さがあるのが特徴。また、酸味があまりないので、苦味が平気であれば、酸味が苦手な人でも食べやすい柑橘です。
雪解けが始まる季節、雨水。
桃の節句とも呼ばれる雛祭りを間近に控え、春の足音は、すぐそこまで迫ってきています。
旬の大根を食べて、免疫力を高め、もう間もない暖かい季節に備えてくださいね。
WRITER
管理栄養士。栄養・レシピ・ヴィーガンなど、食に関する記事をWEBコンテンツで執筆。その他、カフェのメニュー開発、料理動画制作などをして活動。これまでは給食提供のほか、離乳食指導や食育指導に従事。幼少期から茶道を習っており、日本文化が好き。こども食堂を開くのが夢!
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