野菜の力強さを再認識。楽しい仕掛け満載の気軽な和食
自由が丘駅から5分ほど歩いた場所に佇むビルの小径を入ると、どこか異国の路地裏に迷い込んだような雰囲気。その一角にあるのが、2018年オープンのヴィーガンレストラン「菜道」です。隠れ家のようなこじんまりとした店ですが、実は昨年、世界中のベジタリアン・ヴィーガンからNo.1に認められた注目のレストランなのです。
日本でヴィーガンレストランといえば、薄味でヘルシーなメニューを想像しがち。でも、こちらの店はちょっと違っていて、麺類や丼もの、揚げ物など、誰もがついつい食べたくなる、ジャンクな和食ばかりがメニューにずらり。オープンしてわずか1年後には、世界中のベジタリアン・ヴィーガンに人気のレストラン情報サイト「Happycow」で、11万を超えるレストランの頂点に立ったというのもこのあたりに秘密がありそうです。
この日いただいた「菜道の昼膳(2,200円・税込)」は、菜道の魅力がギュッと詰まった、楽しい仕掛け満載のミニランチコース。温麺や焼きそば、つけ麺、うどんなど8種類の麺料理、うな重やカツ重、カレーなど5種類のご飯もの計13種類からメイン料理を選ぶことができ、これにスープ、サラダ、デザート、ドリンクがつきます。
こちらのお店では、肉や魚介などの動物由来食材や化学調味料、精製糖、さらにニンニク・ニラ・ラッキョウ・アサツキ・ネギなど五葷(ごくん)を使わない料理を提供することで、ベジタリアン・ヴィーガンはもちろん、オリエンタル・ベジタリアン(五葷を避けるベジタリアン)の人でも安心して食事をすることができるのです。
コースの最初にいただいたのは、シンプルな一杯のスープ。これをひと口飲んでみると、体にじんわりと野菜本来の味が染み入るのを感じます。こちら、お野菜の種や皮のみを使用していて、塩など調味料などを一切使っていないというから驚き。まさに、野菜の滋味がストレートに感じられる一杯でした。
次は、メインの前の野菜料理。ベジタリアン・ヴィーガンにとって、サラダはお店で食べるものではないとシェフの楠本さんはいいます。そこで、ちょっとした仕掛けで目も楽しませてくれるのが、菜道流。
スモークで満たされたガラスの器をそっと外すと、小さなお庭をイメージしているというサラダがお目見え。思わず、「わあ〜、かわいい!」と声に出してしまうほど、こにくらしい演出です。
菜道へ来たら、一食の価値があるのが麺料理。菜道のラーメンは「齋麺(さいめん)」と独自の呼び方があり、使っているのはお店オリジナルの低糖質麺。「あしたば麺」「しょうが麺」「ブロッコリー麺」「桑麺」「ウコン麺」の5種類から選ぶことができて、しょうが麺なら体の冷えを緩和してくれたり、ブロッコリー麺なら抗酸化作用や葉酸摂取ができたりと、それぞれの麺に体に良い効能あり。これは、外国人観光客のみならず、体に気を使う女性にも人気があるのも納得です。さらに、彩りを添えてくれるシャキシャキの野菜たちは、見た目で食欲を刺激してくれます。
さらに、この一杯のラーメンの中には、シェフこだわりの具材も。ゆで卵は、一見すると卵そのものですが、実はこれ、ヴィーガン卵なるもの。何でできているのかは企業秘密とのことですが、一口食べると、ぷるんとした食感とゆで卵独特の風味が口の中に広がります。
野菜の味が強いオーガニック野菜をできるだけ使い、スープのベースは野菜の旨みのみ。こちらの店では塩味も通常のお店レベルに合わせてしっかり目にしているので、食べた人の満足感が高いよう。さらに、麺はつるっとした喉越しが抜群で、麺料理としても秀逸でした。
コースの締めのデザートは、4種類からチョイス。こちらの「ブルーベリーチーズケーキ(単品の場合は600円・税込)」は、ミントの小さな芽が育っている鉢に見立てたデザート。アーモンドにチョコを絡めて土のように見せ、中にブルーベリーチーズケーキをシャベルですくって食べる、楽しい演出です。
昼はランチコースのみですが、夜はお酒とおつまみが楽しめるので、居酒屋感覚で訪れる外国人も。日本の居酒屋などで気軽に味わえるおつまみを、シェフが試行錯誤でベジタリアン・ヴィーガン対応に。どんな食材を使っているかは、食べてからのお楽しみとか。また、ヴィーガン対応のおでんも通年で用意してあり、おでん鍋から選んで味わうことができます。
「菜道」が他のヴィーガン・レストランと少し違うのは、日本酒や焼酎、ワインなどを充実させ、セレクトにもしっかりこだわっているところ。「海外旅行に行けば、現地の美味しいお酒は必ず飲みたくなりますよね。それは日本に来た人だって同じ。だから、うちは日本酒にもかなりこだわって揃えています」。ラインナップの中には、ヴィーガン認証を取得した「南部美人」なども揃っていて、日本酒への興味を持ってもらうきっかけにもなることを期待しているそう。
シェフ自ら、箸置きの一輪挿しに季節の花や実ものを添えています。さまざまな演出や創意工夫で、目でも舌でも楽しませてくれる菜道のヴィーガン料理ですが、実はこういった小さな心遣いが、お店に訪れる外国人観光客の気持ちをキャッチしているのかも。これこそが、世界一に輝いた理由の一つかもしれません。
「ノンベジタリアンの人にとっては、ベジタリアン・ヴィーガン料理は物足りないとか、つまらないと思って欲しくないんです。だから、ワクワクするような仕掛けや演出を考えたり、料理を選ぶ楽しさも味わえるように工夫しています。肉や魚にはない、色の華やかさや力強さが野菜にはあると思っていて、それを活かさない手はないですね」。ノンベジタリアンの人も一緒に楽しみながら食事ができるのも、菜道ならではなのかもしれませんね。
【注文方法】
ヴィーガン、ベジタリアン、オリエンタル・ベジタリアン、ハラールに対応。基本的に五葷フリー、化学調味料フリーで、このほかリクエストがあれば、アルコールフリーや減塩メニュー、ロカボメニューにも対応してくれます。また、スタッフまで問い合わせればグルテンフリーもOK。塩味も通常のヴィーガン・ベジタリアンの店よりはしっかり目についているので、好みで調節も可能です。
まんぷくエピソード
外国人が本当に求めるのは、特別ではない大衆的な和食だった!
楠本さんは2018年12月まで、西麻布で会員制の和食レストランで10年間シェフを務めていた方。その店では日本でいち早く、富裕層向けのハラール対応をはじめ、業界でも注目されていました。やがて、リクエストに応じてベジタリアン・ヴィーガン対応の料理を作りはじめると、彼らが実はどんな日本の料理を食べたいかを知るようになります。
「日本に来た外国人が、本当は一番何を食べたいかを突き詰めてみたら、実はラーメンや丼もの、焼き鳥、おでんといった、私たち日本人にとって馴染みのある料理だったんです。しかし、実際にそういった料理を普通に店で食べようとしても、ベジタリアン・ヴィーガンの方は食べられないんですよね。だから、見た目も味もそれっぽく見えるのに、彼らが食べられるように徹底的に研究して作ったのが、菜道のジャンク和食なんです」と、シェフの楠本さん。
焼き鳥の肉はどう再現しよう、うな重は何で代用してみようか……。肉や魚が使えない分、まだ地方に眠っている乾物野菜などの保存食を探してきて、それを上手に活用し、より本物に近い味や食感を探る毎日。そんな試行錯誤を真面目にやってきた結果が、「Happycow」でのヴィーガンレストラン世界1位という称号だったのだとか。その結果、逆に日本人も興味を持って、来店してくれる人も増えているそう。
「食べた時には気づかず、後から『これってヴィーガン料理だったの?』と言われるのが、僕にとっては最高の褒め言葉ですね」。これからも新たなメニューで、来た人を驚かせてくれそうです。
Features
Meal features
- グルテンフリー対応(麺・調味料)
- 五葷フリー対応
- 化学調味料フリー対応
- ロカボメニュー、減塩メニュー、アルコールフリー
Vegetarian
- 全メニューヴィーガン対応
How to order
- テーブル注文・テーブル受け取り
Service
- Credit card : あり
- Electronic money : あり
- Multilingual : 英語
- Translator : なし
お店の紹介Information
菜道
住所 | 東京都目黒区自由が丘2-15-10 |
---|---|
電話番号 | 03-5726-9500 |
営業時間 | Hours :
11:30-15:00(L.O.14:00)、17:30〜22:00(L.O.21:00)
Closed :
水曜
|
価格帯 | Dinner / person :
4,000円(税込)程度
Lunch / person :
2,200円(税込)程度
|
Access | 東急東横線 自由が丘駅 徒歩4分 |
駐車場 | なし |
多言語メニュー | 英語 |
URL | https://saido.tokyo |
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