定番野菜が極上な一菜一皿に
にんじん
にんじん
家庭の常備野菜として定着しているにんじんは、サラダや炒めものなどの料理にはもちろんのこと、スイーツやジュースなどにも使われることの多い野菜です。日本では西洋文化の浸透とともに、にんじんの主流も変化してきた歴史があります。緑黄色野菜の代表格でもありますが、ある栄養素の語源にもなるほどの栄養価の高さを誇ることをご存知ですか?今回は、そんなにんじんと向き合っていきます。
にんじん
緑黄色野菜の代表であるにんじんは、β-カロテンが豊富。β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、体内の活性酸素を抑える抗酸化作用があるほか、皮膚や粘膜を健康に保つ働きがあります。また、カリウム、カルシウム、鉄分などミネラルもバランスよく含みます。
<おもな栄養素>
β-カロテン、食物繊維、カリウム
西洋文化の浸透とともに変わった、にんじんの主流とは?
にんじんはセリ科の野菜で、原産地はヒマラヤ周辺。現在のアフガニスタンのヒンズークシ山脈とされています。その歴史は古く、約1000年以上前から食べられていたと言われ、もともとは紫色や黄色のにんじんが主流でした。
そして11世紀頃にシルクロードを通じて中東やヨーロッパに広まったのちに、16~17世紀頃にはオランダで、現在の一般的なオレンジ色の品種が作られるようになりました。栄養価の高さや料理への使い勝手のよさもあり、にんじんは地域を超えて多くの文化で用いられる野菜となり、異なる気候や土壌でも栽培できるように、さまざまな色や形をしたにんじんが生まれていきます。
日本には、中国経由から伝わった「東洋種」と、ヨーロッパからアメリカ経由で伝わった「西洋種」があります。東洋種は13世紀ごろには伝来していたとされ、江戸時代頃までは東洋種の栽培が多かったものの、現在では明治以降に導入された西洋種が栽培のほとんどを占めていて、なかでも「五寸にんじん」が主流となっています。

東洋種の代表は、おせちなどに使われる紅色の金時人参で、やわらかい肉質で甘みがあり、にんじん臭が少ないのも特徴です。この色はリコピンによるもので、β-カロテンと同じく抗酸化作用が高い栄養素です。

ほかにも、紫・白・黄など、最近では色を楽しむ品種も増えてきています。このようなカラフルなにんじんは、西洋種を親にもつものが多い傾向にあります。


カスミ子先生から、ひとことアドバイス
「五寸」とは長さの単位で、約15cmよ!
油調理が最重要!ホクッと甘い「にんじん竜田揚げ」
にんじんは代表的な緑黄色野菜ですね。緑黄色野菜は「原則として可食部100g当たりのβ-カロテン当量が600μg以上含まれるもの」と定義されています。(参照:厚生労働省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の取扱いについて」)
にんじんに含まれるβ-カロテンは、なんと6900μg/100gで、野菜類の中でもトップクラス。600μg以上が緑黄色野菜に分類されると考えると、相当量が含まれていることが分かりますね。
この「カロテン」という言葉、じつは「キャロット」が語源になっているのをご存知ですか?これが、にんじんが緑黄色野菜の王様だと言われる理由なのです。
そして、β-カロテンは、油を一緒に摂取すると吸収率が上がることが特徴です。さらに、皮の方にβ-カロテンが多く含まれていることも、次の表から分かります。
にんじんは、皮つきのまま油を使って調理することで、β-カロテンをより効率よく摂取できることを覚えておくとよいでしょう。
今回は、にんじんをホクッと甘く味わえる竜田揚げのレシピをご紹介します。
にんじんの竜田揚げのレシピ
材料
・にんじん…中1本(約150g)
・しょうゆ…小さじ1
・鶏がらスープの素…小さじ1
・おろししょうが…小さじ1
・片栗粉…大さじ3
・油…適量
・カットレモン…お好みで
作りかた
① にんじんは短めのスティック状に切る。
② ポリ袋にカットしたにんじんと、しょうゆ、鶏ガラスープの素、おろししょうがを入れ、揉み込んだら10分おく。
③ 片栗粉を大さじ2加えてまぶし、残りの大さじ1を揚げる直前に加えてまぶす。
④ フライパンに油を1cmほど熱し、③を入れて揚げる。
⑤ 油をきってお皿にのせ、お好みでカットレモンを添える。

カスミ子先生から、ひとことアドバイス
片栗粉を2回に分けてまぶすと、衣が剥がれにくくなるのよ!
出会ったら吉の、葉つきにんじん
葉つきのままでは、長すぎて流通しにくかったり、しなびやすかったりするため、一般的には葉を切り落として売られていますが、直売所やスーパーの産直コーナーでは葉つきのまま売られていることも。葉は、根同様に緑黄色野菜で栄養豊富。根よりもビタミンCやカルシウムなどが多く含まれるので、捨てずに丸ごと食べましょう。
刻んでそのままサラダとしても食べられますが、ほんのり苦味があるので、気になる場合には、加熱して食べるのもおすすめ。炒めて醤油で味付けすれば、栄養満点のふりかけになりますし、かき揚げの具材にするのもおいしいですよ。
葉も皮も捨てるところがないにんじん。出会ったらぜひ丸ごと味わってくださいね!

カスミ子先生から、ひとことアドバイス
保存の時は、葉を切り落としておくと長持ちするわよ!
まとめ
保存性が高く、家庭の常備野菜として定着しているにんじん。代表的な栄養素はβ-カロテンということは広く知られていますが、その「カロテン」の語源がにんじんだということは、つい誰かに言いたくなく小話では?
栄養価の高さはもちろんのこと、生でも加熱しても食べることができる使い勝手のよさも、多くの人に支持される理由かもしれません。β-カロテンをさらに効率よく摂取するためには、油を一緒に使うことを忘れないでくださいね。
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