mihoさん、おしえて!ヴィーガンの暮らしかた
最近は、近所のスーパーでもよく目にするようになったプラントベースの食材。ちょっと興味はあるけれど、何をどう取り入れていいのかわからない…という人も多いのでは?
そこで今回は、初心者のためのプラントベースの取り入れ方や、ヴィーガンライフについてのQ&Aをご紹介。約8年間、ハワイのヴィーガンカフェで働いたのち、現在は日本でヴィーガンシェフ・料理研究家として毎日キッチンに立つmihoさんにお答えいただきました。
――わたしたちまんぷくベジ編集部のメンバーも、プラントベースの食材にとても興味があります。ヴィーガンでない人が、比較的取り入れやすい食材はありますか?
日本人に親しみのある豆腐が、一番身近で取り入れやすいと思います。タンパク質も肉や魚と同じように摂れますし、卵の代わりにスクランブル豆腐(ターメリックを加えて色をつけます)を作ったり、厚揚げを野菜と一緒に炒めたりしてもいいですよね。
最近はスーパーで、大豆ミートや代替え肉、豆腐のチーズなどを見かけることが多くなってきました。プラントベースの食材のことがいまいちわからない人でも、お肉や乳製品の代わりにこういった食材の存在を知ることでイメージしやすく、また扱いやすいのかなと思います。
加工品はあまり摂りたくないかなという人には、ナッツバターや野菜、果物、大豆やナッツ類などさまざまな種類のプラントベースミルクを使ったスムージー、雑穀類のキヌアを使ったサラダなどがおすすめですよ。
―――市販でプラントベースの食材も多く並んでいますよね。それを利用するときの、選び方のコツはありますか?
必ず、商品の裏などにある食品表示を確認しましょう。まずは、動物性の食材や添加物が入ってないかをチェック。具体的には、チキンエキスやビーフエキス、卵、乳製品、砂糖(精製された上白糖などは、精製過程で動物の骨が使われているため)、蜂蜜などが入っていないかを見ます。ヴィーガンの人は、これらの食材は摂りません。
私の場合、プラントベースやヴィーガンの表示があるものでも、自分が何を食べているのかが気になるので、どのような材料が使われているかは一応チェックします。可能であれば、あまり添加物の入っていないピュアなものが好ましいですね。
―――プラントベースの食材の取り入れ方で、ちょっとした工夫やおすすめの方法はありますか?
日本では、プラントベースの食材は揃えにくいという難点があります。しかしよく考えてみれば、昆布や椎茸だしを使い、野菜をたくさん入れた味噌汁に、豆腐や油揚げを入れた料理もプラントベースなのです。これに玄米や白米、自家製漬物やピクルス、海苔やひじきを合わせれば、和風の基本セット。季節野菜の胡麻和えやナッツ和え、大豆ミートの唐揚げや、大豆の発酵食品であるテンペの照り焼きなどを加えて、ボリュームアップしてもいいかもしれません。
塩分が多くなりすぎないように、つけ合わせには、葉野菜とフルーツを合わせるだけのドレッシング無しサラダを添えるなどすれば、バランスがよくなります。
最初は、自分のライフスタイルやスケジュールに合わせて、普段から持っている使い慣れた調味料やスパイスを使いながら、無理のないようにはじめるのがおすすめです。醤油や味噌、植物性の油、お酢、塩、精製されていない砂糖などはプラントベースなので、台所にある基本の調味料で今すぐトライできますね。
自分で作るのはちょっとハードルが高いと感じる人は、まずは外食でプラントベースの食事を楽しんでみるのもいいと思います。プロの方たちがどんな風に食材を使っているのか、実際に見て味わってみるだけでも、楽しい発見につながると思いますよ。
―――大豆ミートもスーパーでよく見かけるようになりましたが、おすすめの食べ方ってありますか?
我が家の場合はパスタソースに混ぜたり、餃子や春巻き、麻婆豆腐、ロールキャベツ、ガパオ、メキシコ料理などを作る時に使っています。大豆独特の臭いが気になるという場合は、醤油・メープルシロップ・水などを合わせて下味をつけてから、調理するといいですね。
乾燥しているタイプのものは、浸水させたりお湯で数分茹でたりした後、しっかり水気を切ってから下味をつけます。加工品をあまり使いたくない場合は、きのこやナッツ類などで代用できます。
―――私はお腹が空いたときにナッツを食べるのですが、おすすめの食べ方ってありますか?
私が選ぶのは、できるだけオーガニックのもので、塩や油不使用のピュアなもの。ナッツ、ドライフルーツ(自家製)、ヴィーガンチョコをミックスしてトレイルミックスを作ったり、ナッツを刻んでサラダに入れたり、パスタなどのトッピングにしたりすることで、香ばしさや食感の違いが楽しめます。ナッツバターをりんごやオレンジなどのフルーツに乗せると、軽い朝食やおやつ代わりにもなりますよ。
―――プラントベースを取り入れはじめる前に知っておきたい、注意点は?
100%プラントベースに切り替える場合も、そうでない場合も、基本的な栄養学について勉強しておくと、自分のカラダや体調を知る上でとても役に立ちます。そして、できるだけ加工されていない、ホールフードと言われる植物性の食品(野菜、果物、ナッツ、穀物、豆類、海藻など)をバランスよく摂るように心がけるようにしましょう。
ヴィーガンライフで不足しがちなのは、「オメガ3脂肪酸」や「ビタミンB12」など。オメガ3脂肪酸は、クルミやアーモンドなどのナッツ、チアシードやフラックスシードなどの種子類、アボカドなどに含まれています。ビタミンB12は焼き海苔や、かいわれの新商品「マルチビタミンB12かいわれ」、ニュートリショナルイーストという食材に含まれています。このような食材を積極的に取り入れていれることで、不足しがちな栄養素を補います。
※ニュートリショナルイースト……サトウキビなどの糖蜜で発酵させた酵母。チーズやナッツのような風味がある。
―――プラントベースの食材は、保存食としても使えますか?
乾燥タイプのものであれば、常温で長期間の保存が可能です。高野豆腐、乾燥タイプの大豆ミート、豆腐干、ナッツ、シード、ドライフルーツ、乾燥野菜、海藻など、実はいろいろなバリエーションがあります。高野豆腐やナッツなどは栄養価も高いので、非常食や登山食などでも使われていますよ。
―――みほさんが今注目している、プラントベースの食材はありますか?
私が今注目しているのは、現代人が抱える慢性的なストレスの緩和に有効だと考えられる「アダプトゲン」と呼ばれるハーブです。また、マカや霊芝、チャーガ、ライオンズメーン、アシュワガンダ、朝鮮人参、ホーリーバジルなどさまざまなハーブを使った商品や、レシピ作りに興味があります。
ヴィーガンやプラントベースなど、専門用語が並んでしまうと、身構えてしまう人もいるかもしれません。でも、実はいつも使っている調味料や、和食の基本セットでも、ヴィーガンライフははじめられるのです。まずは、身近な食材からはじめてみたり、外食で試してみるのもいいかもしれませんね。
mihoさんのヴィーガンライフをご紹介しているコラムはこちらより。
【野菜を愛する、小さなカフェ便り#1】カフェオープンから、N.Y.でのおいしい日々
<プロフィール>
篠宮 美穂(しのみや みほ)
ヴィーガンシェフ、ヴィーガン料理研究家、「METRIC BOHEMIA(メトリックボヘミア)」ディレクター。カフェを12年経営。渡米してヴィーガンカフェで働きながら、ヴィーガン料理、概念について学ぶ。現在は日本で、地球にやさしくユニークなプロジェクトを立ち上げ中。趣味は自家製酵母のパン作りと、ヴィーガニックコンポストの土づくり。
美穂さん(@rabbitbook)のInstagramページはこちら。
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