日本の暦と旬の野菜-秋
2024年は9月7日に迎える白露(はくろ)。この名は、早朝に草木に結ぶ露(つゆ)が見られる時期であることから名付けられました。昼間は暑い日もありますが、朝夜の時間には空気が冷たさを帯びてくる頃です。
※二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つに分け、そこからさらに6つに分けた、約15日間の季節を表す言葉。現在は最初の日だけを指すことが一般的ですが、本来はこの15日間を表します。
※日本の暦は、旧暦(太陰太陽暦の暦法「天保暦(てんぽうれき)」)から、1872年にグレゴリオ暦(太陽暦)が採用され、新暦と呼ばれます。特別な表記がない場合を除き、日付は新暦です。
※二十四節気の日付は毎年異なり、1日程度前後します。
十五夜にお供物をする理由とは?
この白露の時期に迎える、秋の行事の代名詞が十五夜。中秋(ちゅうしゅう)の名月とも呼ばれますね。「中秋」とは旧暦で「秋の真ん中」という意味で、旧暦の秋にあたる7月から9月の真ん中の日、8月15日のこと。新暦では、約1ヶ月ずれた9月から10月頃に十五夜を迎えます。
十五夜の起源は中国で、日本では平安時代に貴族の間で浸透したと考えられています。
庶民に広がっていったのは、江戸時代頃。次第に、十五夜に月見団子やすすきをお供えすることは、日本人に広く認識された習慣となりました。
十五夜に月見団子をお供えするようになった理由ですが、もともとは秋の豊作を願い、米の団子をお供えしたことから始まりました。ほかにも、旬の果物や、地域によっては収穫されたさといもをお供えしたことから、十五夜は「芋名月」とも呼ばれています。
すすきを飾るのも、その形を稲穂に見立て、米の実りを祈るためでした。月明かりに照らされる、規則正しく積まれたお団子と黄金色のすすきの組み合わせにも、さまざまな背景があったのです。
旬の野菜・さといもの「ぬめり」は便秘予防に効果あり!
秋の味覚の一つ、さといもは、9月から11月頃に旬を迎えます。
さといもといえば、特有のぬめりが特徴的ですよね。
このぬめり成分は、「ガラクタン」という水溶性食物繊維です。ガラクタンは腸内の善玉菌を増殖させることで、消化を助け、便秘予防効果が期待できますよ。また、ほかの芋類と比べて比較的低カロリーなのも特徴で、さつまいもの約1/4、じゃがいもの約4/5のカロリーです。美容にうれしいお芋であることがわかりますね。
そんなさといもの調理で困ることといえば、「かゆみ」が挙げられるのではないでしょうか。
こちらは、さといもに含まれる「シュウ酸カルシウム」という成分によって引き起こされます。シュウ酸カルシウムはトゲのような形の結晶のため、肌に触れることで痛みやかゆみを引き起こすのです。対処法として、シュウ酸カルシウムは酸と結合することで分解されやすい特徴があるため、酢水につけながら皮をむくと、シュウ酸カルシウムが分解されてかゆみが軽減します。
さといもの保存方法
さといもは乾燥や湿気が苦手な野菜。ポイントを抑えて、長く新鮮に使いましょう。
・直射日光が当たらない場所に保存する。
・常温である10℃〜25℃で保存する。
・土を落とさないまま、新聞紙やペーパータオルで軽く包み、乾燥を防ぐ。
・くるんださといもを、まとめて通気性の良い紙袋に入れ、湿気から守る。
・約1ヶ月で使い切る。
そのほかの旬の野菜
この時期に旬を迎えるその他の野菜には、以下のような野菜があります。
- さつまいも
- なめこ
- かぼちゃ
- チンゲンサイ
親しみ深い果物・りんご
なじみ深くも可愛らしい果物、9月から11月に旬を迎えるりんご。
旬のりんごは、食感がよく糖度が高いのが特徴です。
ポリフェノールを豊富に含むため、抗酸化作用で細胞の老化防止にも役立ちます。
りんごには多様な種類がありますが、「ふじ」や「つがる」は甘味がつよく生色向き、「紅玉」は酸味が強くジャムやパイに向く、など特徴があるので、用途によって使い分けると良いでしょう。
本格的に秋を感じ始める季節、白露。
秋の味覚も続々と登場し、食欲旺盛になる季節の到来です。名月を楽しみながら、旬の食材をいただく秋を過ごされてみてはいかがでしょうか。
WRITER
管理栄養士。栄養・レシピ・ヴィーガンなど、食に関する記事をWEBコンテンツで執筆。その他、カフェのメニュー開発、料理動画制作などをして活動。これまでは給食提供のほか、離乳食指導や食育指導に従事。幼少期から茶道を習っており、日本文化が好き。こども食堂を開くのが夢!
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