日本の暦と旬の野菜-秋
2024年8月7日、二十四節気では、立秋を迎えます。セミの声が高く響き、滅入るような暑さが依然と続くにもかかわらず、もう秋の文字が暦に入ってくるのは、不思議な気もするでしょうか?
「立秋」と書くのは、気候が「秋立つ」からです。早朝や夕方、ふと外に出てみると、少しずつ風や日の長さに小さな秋を見つけられる季節になっていきます。
※二十四節気とは、1年を春夏秋冬の4つに分け、そこからさらに6つに分けた、約15日間の季節を表す言葉。現在は最初の日だけを指すことが一般的ですが、本来はこの15日間を表します。
※日本の暦は、旧暦(太陰太陽暦の暦法「天保暦(てんぽうれき)」)から、1872年にグレゴリオ暦(太陽暦)が採用され、新暦と呼ばれます。特別な表記がない場合を除き、日付は新暦です。
※二十四節気の日付は毎年異なり、1日程度前後します。
ご先祖様をていねいにお迎えするお盆
この立秋の季節、8月13日頃から16日頃にかけて、現代の日本人になじみ深い行事、お盆休みを迎えます。
夏の行楽シーズンとして注目されることが多いですが、もともとは、ご先祖様の霊魂を家にお迎えし、供養する期間でありました。幼い頃、ご実家で、盆提灯(ぼんちょうちん)を飾ったり、玄関で迎え火を炊いたりした記憶がある方もいるのではないでしょうか。これは、ご先祖様がいらっしゃるときに自分の家がわかりやすいよう、目印として行うのです。
ほかにも、供養の方法で有名なものに、野菜を使った精霊馬(しょうりょうま)があります。夏野菜でもある「きゅうり」と「なす」を馬と牛に見立て、ご先祖様の行き帰りに乗っていただく、というものです。
きゅうりは馬、なすは牛。馬は足がはやい動物ですので、迎え盆に使われ「早く家族の元へと帰ってこれるように」という願いが込められています。対して、牛は、歩くのがゆっくりでたくさん荷物を背負える動物。こちらには、「お土産を持って、ゆっくりとあの世へお帰りください」というご先祖様への想いが込められているのです。
この精霊馬は、野菜に割り箸などで足をつけるだけで簡単にできます。今年の夏は、ていねいにご先祖様をお迎えしてみてはいかがでしょう。
旬の野菜・なすはポリフェノールたっぷり!
この時期、6月〜9月には、夏野菜であるなすが旬を迎えます。通年で馴染み深い野菜ですが、旬のなすは別格、甘味とみずみずしさがより引き立つのが特徴です。
なすの栄養素で着目したいのが、皮にふくまれる、ポリフェノールの一種「ナスニン」。その名の通り、なす特有の色素成分で、この色素成分によって、なすの鮮やかな紫が発色します。ポリフェノールは高血圧予防や活性酸素の除去に役立つため、ぜひ皮ごと調理していただきましょう。旬のなすは皮もやわらかいので、おいしくいただけますよ。
なすの種類
一般的ななすは、皮が紫色をしていますが、中には皮が緑や白のものもあります。
たまに、スーパーや直売所で見かけることもあるのではないでしょうか。
それぞれのなすにあった調理をして、存分に旬のなすを楽しんでくださいね。
・白なす 皮が白で、ナスニンを含まない。とろりとした実が特徴で、コクのある料理と合う。
・青なす 皮は緑で固め。加熱すると果実がやわらかくなるので、田楽に向く。
・米なす ヘタが緑の大型品種。しっかりとした実で、煮込み料理やステーキに向く。
そのほかの旬の野菜
- 夏キャベツ
- トマト
- ピーマン
- ししとうがらし
上品な甘さがひきたつ果物・いちじく
夏の果物といえば、8月から11月にかけて旬を迎える果物、いちじく。品のある味わいとやわらかな果実が特徴の、この季節限定の味わいです。
いちじくは、水溶性食物繊維であるペクチンが豊富。ペクチンは、血糖値の急激な上昇を抑えたり、腸内環境を綺麗に保ったりする働きがあります。
あまり日持ちがしないので、すぐに食べ切るのがおすすめですが、難しい場合はコンポートにすると長く使えますよ。ヨーグルトに入れて召し上げることで、おいしく、ペクチンの効果も合わさって便秘予防が期待できます。
少しずつ秋の気配を感じ始める、立秋。とはいえ、まだまだ暑い日が続きますので、熱中症には十分気をつけましょう。昔ながらのやり方でご先祖さまをお迎えしたり、旬の食材を取り入れたりして夏を楽しめば、少し暑さがやわらいで感じるかもしれませんね。
WRITER
管理栄養士。栄養・レシピ・ヴィーガンなど、食に関する記事をWEBコンテンツで執筆。その他、カフェのメニュー開発、料理動画制作などをして活動。これまでは給食提供のほか、離乳食指導や食育指導に従事。幼少期から茶道を習っており、日本文化が好き。こども食堂を開くのが夢!
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